Comment page 2008.9.19 renewal


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グッド・シェパード
THE GOOD SHEPHERD   (2006)


 第二次大戦間近、イエール大学に通うエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は諜報活動にスカウトされます。耳の不自由な女性ローラと心惹かれ合いながら、友人の妹クローバー(アンジェリーナ・ジョリー)と一時の関係を結び 彼女が妊娠したことで結婚するのですが、まもなく第二次世界大戦中に作られた情報機関OSSの諜報部員として一人ロンドンへ、家族と離れて数年間を過ごします。戦後 家族の元に戻ってくるけど、初めて会った息子ともクローバーとも気持ちはすれ違い、冷戦時代となってエドワードはそのままCIAでも相変わらず仕事に没頭する毎日。クローバーの心は離れていくけど、息子は父の仕事を理解していきます。

 物語は、CIAを揺るがす大事件が発生したところから始まります。1961年、キューバ侵攻の失敗です。その情報を漏らした者は誰なのかというのを物語の芯にして、その解析に関わるCIAのエドワードの人生が、時を逆のぼって描かれていきます。

 アクションや銃撃戦があるわけではなく、淡々と展開していく人間ドラマです。地味かもしれないけど、それでもこういうの好きかも〜って思いながら観ていて、167分もの作品とは知らなかったのですが 長いな〜とも思わず楽しめました。諜報活動に関わる人物の物語がUKIUKIのツボというのもあるけど、エドワードが いろんな人物と絡んだり 駆け引きが繰り広げられていく様子に つい見入ってしまっていたという感じです。
 リスクのありそうな人物を消すことに躊躇していたエドワードが、ふと気づいたら 寡黙で無表情で上品な印象すらありながら 何気にさり気なくという感じに非情な決断を下していってるんです。祖国に不利益をもたらす人物は消す! スパイは許さない・・・相手が誰でも、たとえ親しい関係を築きつつある人物でも、いえそれこそ罠にかけられたわけで いっそう許せるわけもなく、でも感情は見せずに もう躊躇することもなく消す!のです。それでかな〜、淡々とした中に ずっと緊張感が保たれていました。
 そして終盤になって、父と子を繋ぐ品物を絡めての ワァ〜こうくるのか!そういうことだったんだ!って展開に納得していたら、それで終わらなかった。エドワードの父親としての顔の奥に、非情な諜報活動家の血がやはり脈々と流れているんだということの証である 彼の決断に、ゾク〜ッ!!とするのでした。

 ロバート・デ・ニーロがこんなところにチラッとだけ出演してるのね〜と思っていたら、彼の監督作なんですね。ん〜 彼の味わいが出ているような。。。って、後から都合よくそんな気分になったりしてます。 (Comment2009.2.20)