Comment page 2008.9.19 renewal


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7つの贈り物
SEVEN POUNDS    (2008)


 辛い過去を背負っているらしい男ベン・トーマス(ウィル・スミス)が、何やら他人の抱える問題を調べ上げて彼の条件に見合う人物の人生を救おうとしているが、詳しいことは何も分からない・・・という物語が始まりました。
 いえ、その前にいきなりこの男、自殺するらしいってシーンで始まったのでした。いかにもこれ伏線でしょ。いきなり結末に繋がることになる伏線で始まり、伏線に次ぐ伏線で、観ていくうちに物語が見えてくる。これがなかなか おもしろい!! 映画としては、そのあたりよくできていると思ったし、後から振り返れば、ほとんどが伏線になっていて結末に繋がっていった物語です。

 内容的には、映画だから成立する都合の良さが多々あると思いましたが、映画だからいいやと思えました。ベンのしようとしていること、結果したことについては、感動や美談または衝撃のラストというのはちょっと違うし、”贖罪”という言葉で言い切れないとも思いました。複雑な切なさが残りました。

 ベンは、彼が選んだ7人の他人の人生を変える”贈り物”をしようとしていました。それは彼が起こした事故で亡くなった7人やその家族への直接的な罪滅ぼしではありませんよね。血液型とかの条件もあったわけですが、良い人を選ぼうとしていたところなんかは この計画が達成されることで彼自身が苦しみから救われたいという思いも無意識のうちにあったような気がしました。

 着々とまた たぶん淡々と進めていた計画のようですが、エミリー(ロザリオ・ドーソン)と出会ったことで彼なりの目的が揺らいだのではないでしょうか。心にもなくエズラ(ウディ・ハレルソン)に暴言を吐いたように、エミリーとの”愛”を拒絶しようとしたけど、彼の心には迷いが生じましたね。最後の行動を躊躇し、エミリーの主治医に確かめに行って、やはり自分が彼女を救う道を選びました。計画を達成する時、ベンはより苦しんだのでしょうか、より救われたのでしょうか。。。

 ベンが弟(マイケル・イーリー)に成りすまして情報を手に入れてました。これ誰?と思った女性ホリーのことも後から分かるのですが、彼女との交流が取れるということや、移植相手を指定できるのかという臓器移植のシステム。ベンがしようとしていることを全面的に知っていて協力する彼の親友ダン・モリス(バリー・ペッパー)。とにかく彼らの存在があって、ベンの計画に合わせて物事が進み、ふつうは明かされないとUKIUKIなんて思い込んでいた情報が、エミリーに知らされたわけですね。いいんです 映画ですもん。

 ベンに目を向けると 上にも書きましたけど複雑な切なさが残って心からスッキリした気分にはなれませんし、エミリーがバスタブに浸って自分の心臓の鼓動にベンを感じようとしたのには、やはり切なさが充満してしまいました。ここ好きなシーンです。そしてラストに・・・そういうモヤモヤ↑を吹き飛ばしてくれることになりました。UKIUKIは単純なんです。

 明るい野外で子供たちの音楽会、合唱隊の伴奏を終えたエズラにエミリーが近づいていきます。初対面のエズラと言葉を交わしている間じゅう、彼の瞳を見つめ続けるエミリーの素敵なこと♪ そしてそのことに気づいてあげるエズラの 堪らなく優しい笑顔♪ 素晴らしいラストシーンだと思いました。
 それほど感情移入して観ていたわけではなく どちらかというと物語の展開を楽しんで観ていたUKIUKIなんですけど、ラストシーンはエミリーと一緒に目が潤んできて あとはもうグシュグシュに泣いてしまいました。今思い出しても、これ書いてても、ポロポロポロ・・・。ちょっと冷静に観てみたら、シーンそのものは まぁありがちなのかもしれないけど、二人の俳優さんの繊細な表情の変化がエミリーとエズラの気持ちや人柄そのもので 凄いと思いました。 (Comment2009.11.10)