Comment page 2008.9.19 renewal


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誰も守ってくれない
Nobody to watch over me   (2008)


 それは突然、ある日 兄(未成年)が逮捕された。しかも小学生姉妹殺人事件の容疑者として。”卑劣な人殺しの妹”になってしまった船村沙織(志田未来)は、両親も保護されるのですが三人別々にということで 彼女だけ離れて警察による容疑者家族の保護を受けることになる。その任務を任された刑事の勝浦卓美(佐藤浩市)は、今家庭が崩壊寸前で、本当はそれどころではないのに、警察の上層部が混乱する中、沙織を連れて逃避行をすることになります。
 自分を取り巻く状況に納得できないまま振り回されていく15歳の沙織の心境が、すごく描かれていたと思います。でも彼女は 強いな〜という印象でした。

 こういう事件は実際身近では起こってないのに 現実味を感じます。今までリアル事件で見てきた報道によるところが大きいのかな。「いつ、どこで、何が起こるかわからないからね。他人事じゃないからね、気をつけな〜ぁい(気をつけなさい)。」って、口癖になってたりします。
 立場が違えば感情的な思いも違うわけで、容疑者側、被害者側に気持ちが揺れ動きつつ観ていました。やはり被害者側の感情に共感しやすいっていうか、だからといってネットやマスコミにあんなふうに叩いて欲しいとは思わなくても、容疑者の家族は何も悪いことはしてないかって考えたら、特に両親にはそうなるまでに気づかなかったことに目をつぶらないで、そして逃げないで向き合ってほしいです。でももしその立場になったら、堪らなく辛い。。。家族のあり方についても考えさせられます。事件後の被害者家族が どう生きていくのか、表面的に取り繕ってる態度ではなく 心の再生がとっても難しいと思いました。できるのかな。。。できないけど、できない気持ちをしまい込んで、前を向いていくしかないみたい。
 お楽しみ娯楽映画ではないでしょ!って気分で観てたんです。

 ところで、勝浦刑事の家族の問題も絡んでいるのに、具体的に何もわからないのが物足りませんでした。映画の前にドラマがあったらしい(?)ので、そこで描かれていたのでしょうか。観終わった瞬間に思ったことは、それで 勝浦刑事は 彼の家族とどうなったの?ってことでした。

 さて、観終わって 今振り返ると、なんとなく違和感が・・・。
 そもそも警察による容疑者家族の保護っていうのが実際にあるのかどうかわかんないけど、その”保護”のやり方がどうなんだろう。それに どちらかといえば被害者家族の方の支えに、もっとなってあげればいいのに。それって警察の仕事に入らないのかな。だったら見方を変えて、人道的或いは新たな犯罪を起こさないためというのではなく、事情聴取を効率的に行うために容疑者家族を”保護”するようでもありました。
 また、マスコミの取材のやり方で、一部のアヤシイ媒体はともかく いくらなんでもみんなで容疑者の妹をあんなふうには追わないんじゃないかな、とか・・・。報道内容にしても、どうなんだろう。
 ネットの暴走はあんなものかもしれないけど、オフ行動が過激だし。まぁ何かにつけて なんていうかショー的に描かれているみたい、何気に現実をリアルに描いているのでもないかも?っていうのがありました。
 以上、文句を言っているのではありません。だからなんとなくこれ、ある程度お楽しみ娯楽映画として観るべきや!って気がしてきました。そう思って振り返ったら、違和感はスルーして、いろいろ巡らせた思いはそのままでいられます。勝浦刑事が、かつて自分のかかわった事件で子どもを殺された被害者家族 本庄圭介・久美子夫妻(柳葉敏郎・石田ゆり子)を頼って行って、それってどうなのと思ったりもしてたけど、それもそれで 彼らの営むペンションで展開されるドラマには、本庄夫妻や勝浦刑事、もちろん沙織、それぞれの心の痛みを感じることができました。 (Comment2009.12.2)