Comment page 2008.9.19 renewal


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デトロイト・メタル・シティ
(2008)


 「東京でオシャレ系なポップバンドがしたい」という夢を抱いて大分の田舎から上京した大学生 根岸崇一(松山ケンイチ)。
 「・・・僕、音楽で世界中の誰かに夢を与えたいんだ。つまり、ノーミュージック ノードリーム!」
夢を叶えようとデモCDを送った先がデスレコーズ。ポスターに”NO MUSIC NO DREAM”って書いてあるし。でも社名がねぇ・・・。豪腕女社長は、なぜか根岸に彼女の夢を叶えられる才能があると思ったのね。
 ところが大学を卒業して今・・・。

 ふと気づくと、根岸は悪魔系デスメタルバンド“デトロイト・メタル・シティ(DMC)”のギターボーカル“ヨハネ・クラウザーII世”として、和田くん:ベースボーカル”ジャギさま”(細田よしひこ)、西田:ドラム”カミュ”(秋山竜次)と組んでデビューさせられていた。そして、DMCのデビュー・シングル『SATSUGAI』は大ヒット!!
「僕がやりたかったのはこんな歌じゃない、こんなバンドじゃない!!」
「僕が歌いたいのは、世界が夢でいっぱいで、素敵な女の子と恋して結ばれる、そういう歌なんだ。 きっといつかみんな、わかってくれる。きっといつか♪」
根岸は、やっぱりポップソングが好きな同級生の相川由利(加藤ローサ)に再会。初めて会ったときから恋心を抱いている彼女に、自分がクラウザーII世ってバレないように必死です。

 根岸にとってヨハネ・クラウザーII世は仮の姿って感じだけど、実は彼の内にある人に理解されないやりきれなさや不満、ヨハネ・クラウザーII世として歌っていること自体がストレスだったり怒りだったりを生み、それらがヨハネ・クラウザーII世としての音楽やパフォーマンスにエネルギーを与えているようで、人にウケない夢を純粋に追っている根岸にその才能があるって見抜いたデスレコーズ社長が最高☆ しかも彼のオシャレな部屋を破壊してデスメタルな部屋に改造し、恨み・憎しみを煽っているし。彼女のハジケっぷりが かなりお気に入りです。えっ 社長って松雪泰子だったんや〜!って、誰?とも気にせず観ていたので エンドロール見るまで気づかなかったよ。

 社長の思惑通り、クラウザーII世はデスメタルな世界のカリスマになっていきます。実際DMCの”こんな歌”を作っているんですもの。あの歌詞ったら・・・。それでも根岸はいつまでたっても自分の夢に純粋な自分を捨てられない。
 それにしても熱狂的なファンたちの方がデスメタルな世界に生きているな。でもファンも過激なことを言っているわりには危なっかしい感じではなく、明るく純粋に描かれています。
 それに社長だって自分の夢に純粋なんだと思いました。

 根岸は生理的に苦手やわ〜ってタイプだし、路上ライブで歌うあの歌も えぇ〜〜〜。っで、クラウザーII世は関わりたくもないタイプだけど、とにかく観ていて楽しいし おもしろかったです。DMCのライブがスゴイ本格的で、特にラストのライブパフォーマンスは本物だ〜って感じで、ノリノリに観ちゃいました。
 ジャック・イル・ダークと対決(競演)して勝ったクラウザーII世は、引退するジャックに替わってデスメタル界を任されることになります。ジャックの貫禄が凄いな〜って思っていたら、ジャック役のジーン・シモンズって、その世界の本物だそうですね。
 っで、デスメタル界を背負って夢のライブ・・「今こそ届けたい、僕の大好きな音楽を!」と 本当に歌いたい『甘い恋人』を歌ってみたヨハネ・クラウザーII世の根岸くん。そこでみんなに受け入れられて感動!!な〜んてならなかったのが、よかったな〜。思い直して デスメタルなライブ、『SATSUGAI』最悪な歌詞ですが そんなのどうでもいい〜って思える最高のパフォーマンス☆でした。

 根岸崇一とヨハネ・クラウザーII世のギャップはあまりに大きく両極端で かえって演じやすそうって思うけど、それにしても松山ケンイチはどちらのキャラクターにもピタッと嵌っていて見事でした。
 役から離れた松山ケンイチさんって、舞台挨拶の映像とかチラッと垣間見たことしかないけど、どちらかというと”フツウ”な印象です。だからこそ!ってことでしょうか、UKIUKIが今までに観たのは『デスノート』『L change the WorLd』のLとかコレとかちょっと前の連ドラ『銭ゲバ』の蒲郡風太郎でも 極端なキャラ。観てない作品でフツウなキャラがあったら観てみたいな〜って思ったりもしますが、今は9月公開のカムイはどんなかな〜?ってところです。

 さて、”殺す”とかFUCKとか・・・でも、もうこんなの嫌だ!って帰って来た根岸に お母さん(宮崎美子)は言ったのよね。
「どんな見かけでもどんな言葉でもいい、誰かに夢を与えられる人は凄い。」って。まぁデスメタルな世界にファンがどんな夢を抱いているのかは、もひとつよくわかんなかったけど。。。まぁこう言っちゃなんですが、UKIUKIとしては 根岸やファンに ありえない感たっぷりの純粋さがあるから楽しめる作品だと思いました。

 作品中の楽曲がまた、いかにも〜! ありえない〜! ここまで?!! って〜ので 面白かったです。
≪デトロイト・メタル・シティ≫
デビュー・シングル『SATSUGAI』、セカンド・シングル『グロテスク』、『恨みはらさでおくべきか』、『魔王』、『メス豚交響曲』
≪根岸崇一≫
『甘い恋人』、『ストロベリーシェイク』、『ラズベリーキッス』
(Comment2009.4.9)