Comment page 2008.9.19 renewal


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ゾディアック
ZODIAC   (2007)
ゾディアック 十二宮の連続殺人鬼(WOWOWタイトル)
THE ZODIAC   (2005)


 実際にあった連続猟奇殺人事件を基にした映画です。1969年7月4日カリフォルニアでのアベック襲撃後、複数の新聞社に犯人と名乗る人物から手紙が届き、そこには大量殺人の予告と暗号文が添えられていました。その後も“ゾディアック”と名乗り、新聞或いは警察に対して 殺害の実行声明や予告など 不定期に手紙が届きます。

 前半の殺害映像は、映画なんだからと何でもわりと平気なUKIUKIも やっぱり心地悪いには違いなく、こんなの観てても楽しめないか〜と思いましたが、そのうちにゾディアックの犯罪そのものではなく、ゾディアックは誰なのかを突き止めて事件を終結させるミステリー&サスペンスを観ていくことになったようでいて、実は事件にかかわることになった人たちが そのために人生を翻弄されていったことを描いた人間ドラマになっていました。ただ、登場人物それぞれの心情的な部分は そんなに深く描かれていなかったな〜。。。

 サンフランシスコ市警のトースキー刑事(マーク・ラファロ)とアームストロング刑事(アンソニー・エドワーズ)は 長年懸命にゾディアックを追いかけるが、家族との生活をこれ以上犠牲にできないとアームストロングが抜けていき、トースキーの情熱も決定的だと思った証拠に裏切られてから冷めていったようです。
 ランシスコ・クロニクル紙の記者エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)と風刺漫画家ロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)は、暗号文に興味を持ち暗号解読に執着をみせるとともに、この事件に呑み込まれていきました。暗号文が最初に出てきたときには UKIUKIったら アッおもしろそ〜 暗号解読や謎の解明を楽しめる映画かな〜と思ったけど 違ってて、暗号は結局サラッと種明かしされちゃいました。

 事件の捜査そのものは、有力な容疑者が上がってきても、決定的な証拠が得られず進展することなく年月だけが経過していくので、盛り上がりかけては萎んでしまい全体的には淡々とした展開です。事件にかかわることになった人物が それぞれの立場で事件を追うものの、皆くたびれて身を引いていく姿は敗者という雰囲気。
 そんななかグレイスミスだけは、ゾディアックに獲り付かれてしまい 刑事顔負けな没頭ぶりで、有力な情報をつかんでいきます。家庭崩壊しても抜け出せずに いっそう のめり込んでいく姿は もうフツウじゃない、彼もやっぱり違った形の敗者という感じでした。その後グレイスミスは本を出版しました。「ゾディアック」ベストセラーですって。あっ、この映画の原作やん! 彼の人生は、成功だったのだろうか・・・?
 そして ついに!!・・・でも、結局ほとんど黒だと思われる容疑者が死亡して未解決なんだそうです。。。 (Comment2008.9.26)


 こちらは、日本未公開映画です。
 事件の経過は当然同じ、ゾディアック以外の役名は違っています。始まりは 1969年カリフォルニアの事件より前の 1968年クリスマス直前の事件からになってます。

 そして事件を担当することになったマット・パリッシュ刑事(ジャスティン・チャンバース)に焦点をあてて描いています。見た目は全然違いますが、『←ゾディアック』のトースキー刑事と重なるかな〜と思って観てました。それで彼は捜査に没頭していきつつも 家族の存在があるわけで、妻ローラ(ロビン・タネイ)と息子ジョニー(ロリー・カルキン)との私生活も影響されていったのを含めて、この映画は パリッシュ刑事のドラマでした。

 それで、ついにゾディアックに辿り着いたか!ってところで別人・・・また殺害を繰り返すもスルリと逃げていくゾディアック、犯行声明と子どもたちを狙った大量殺人予告。重い空気に包まれて ローラと過ごすパリッシュ、息子らを見つめるパリッシュは何を思っているのか・・・。何ともいえない無力感が漂っているようでした。
 そしたらなんと その後は省略で、ゾディアック事件としては真っ最中の なんとも あっけないラストでしたが、パリッシュのドラマとしては 潮時なのかもわかりません。 (Comment2008.9.26)