ホリデイ

人が運命の人に出会って恋に落ちるのは、無限の可能性のなかで奇跡的な出会いのような気もするけど、その人の環境が分母になって 限られた出会いしかないような気もします。日本では馴染みのない“ホーム・エクスチェンジ”って、分母がそっくり変わるんですね。出会うはずのなかった人との出会い、まあホラー映画なら悪夢になるのでしょうが、これはロマンティック・コメディということで、無理っぽいところを敢えて無視して 素敵な物語を楽しみました。傷ついた心を休めるために ２週間家を交換してクリスマス休暇を過ごすことになった二人の女性、それぞれが新しい環境で運命の人と出会い、心癒されていく物語です。 　初めにロンドンで新聞社に勤めるアイリス（ケイト・ウィンスレット）が失恋するところで、なんと無防備だったことか、ポロポロポロときちゃった自分にびっくり。アイリスは元恋人のジャスパー（ルーファス・シーウェル）と 今でも友人で仕事仲間、しかも三年間片思い継続中。ジャスパーだって他の女性とつき合いながら、中途半端で思わせぶりな態度。ところが彼ったら突然の婚約発表。そんな男にいつまでも・・・と、いつものUKIUKIなら冷たくアイリスのこと観てるはずなのに。。。 　L.A.で映画の予告編製作会社を経営するアマンダ（キャメロン・ディアス）は、同棲していた恋人との関係がしっくりしなくなっていたところ、彼の浮気がきっかけでドタバタの喧嘩別れ。こちらは野次馬目線でアハハと観ていたけど、後のシーンで 小さいときに両親の離婚で傷ついたアマンダは、その時自分は強く生きると誓ったことや、それ以来泣きたくても涙が出ないんだということがわかってきて、彼女もまた複雑な思いを抱えているのだとジーンとさせられるのでした。 　そんな彼女たちがインターネットで“ホーム・エクスチェンジ”の約束をして、アイリスはL.A.の豪邸に、、アマンダはロンドンの街外れ雪に囲まれてひっそりこじんまり建つ家にと やって来たのでした。 　アイリスはプールで泳いだり豪邸チェックするだけでも楽しめるのですが、アマンダの仕事仲間マイルズ（ジャック・ブラック）や 素晴らしいセリフを世に送り出してきた脚本家の老人アーサー（イーライ・ウォラック）と出会って、素敵な時を過ごすことになります。マイルズとはすぐに恋愛に発展するのではないけど、ゆっくりお互いを知り合っていくその感じが良かったです。マイルズは作曲家ですから音楽の話でノリノリになるところなんか楽しいけど、それってアイリスの気持ちを感じてくれてる、自分だって恋に傷ついてもアイリスの気持ちを受け止めて さりげなく励まし 包み込んでくれてるな〜という かっこよさ！！ またアイリスは、たまたま見かけたアーサーを家まで送り、その後 偉大な脚本家であるのに今の自分を隠して人前に出たがらない彼のリハビリを助けますが、そんなアーサーとの関わりを通して、アーサーとの語らいから彼女自身も勇気と自信を与えられたのだと思います。 　アマンダはアイリスの家にやって来たものの退屈で今までにも増して孤独感を味わい、早速帰ろうと思っていたところにやって来たアイリスの兄グラハム（ジュード・ロウ）と、早速一夜を共にって なんだかね〜。酔ってはいたけど、グラハムはそりゃ かっこいい。その後もね、グラハムってなんか不思議に嫌な感じがしないんです。それでも、アマンダも感じているけど、お互い仕事があるし遠距離だし 恋として発展させていくのは難しいでしょ。そして突然グラハムの秘密が・・・。グラハムは妻と死別してソフィとオリヴィアという二人の娘のとっても素敵なパパなんです。アマンダと会っていた週末の彼とのギャップ。でもまたまた不思議、どちらの彼も彼らしいというか、騙されていたという怒りよりは 彼のことを知ることができた嬉しさ、そしてもっと彼のことが素敵に見えてしまうのでした。でもアマンダにとってはどうでしょう。恋の障害はさらに大きくなったでしょうが、ソフィやオリヴィアとは幼くて年は離れていても とっても素敵な人と人との出会いって感じでした。お互いの存在をそのまま素直に認め合う気持ちがあって、あったかかったな〜。 　これ面白い要素もあちこちにあって、思わぬ一瞬のカメオ出演に心の中で拍手！したりとか、でもなんかいろんな思いを感じる度にポロポロきちゃって、そんなに悲しいお話じゃないのに、笑いが止まらないっていうのあるけど泣きが止まらないってあるんですね。目の周りヒリヒリ、でも心地よい涙でした。あっ、その後のことは考えないことにして、ラストも心地よかったです。