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エレクション


 香港黒社会最大の組織“和連勝会”会長選挙をめぐる、その世界に生きる男の欲望と野心を組織の伝統と調和といったものを絡めて描いていました。
 冷静で面倒見が良く伝統を重んじるロク(サイモン・ヤム)と 激情的で暴力的だけど商売の実績があるディー(レオン・カーフェイ)が、新会長の座を争います。なり振り構わぬ買収工作や脅しで会長の座を取りに行くディー、彼の強さへの 期待と恐れで 彼側につこうとする者もいたけど、組織の調和を守るために長老幹部たちはロクを新会長に選出します。ところがディーは選挙の結果を認めず、さらに会長であることを示す竜頭棍(りゅうとうこん)の争奪戦も加わり、組織にとっても香港警察にとっても避けたい内紛へと発展していく気配です。
 なんたってロクは紳士の雰囲気がありますし、そりゃ会長の器は彼でしょう!って感じで、自分の欲望全開のディーなんて金はあってもレベルはチンピラって感じ。そしてロクは頭脳的でけっこう統率力があることも分かってきて、最終的に一人駄々をこねてるふうのディーをも 不満のないよう条件を提示して納得させ丸く収めるところが凄い! 会長就任の儀式も厳かで、人情味のある誓いの言葉・・・あれっ?!! なんだか おかしいよ。。。これは犯罪組織ですよね。仕事とか商売とかって、不法なことや被害者犠牲者ありまくりでしょ、たぶん。
 結末が、きれい事になってなかったのが良かったです。物静かで紳士的な仮面を被っていても、ロクにはやはり黒社会の血が流れていました。
 この作品ではガンアクションを封印し、”実際の香港マフィアは伝統的に銃を使わない”ということで、黒社会をリアルに描こうとしたそうです。銃を使わないぶん 人を痛めつけたり殺したりするのが より惨いシーンになっていたと思います。