Comment page 2008.9.19 renewal


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アメリカン・ギャングスター
AMERICAN GANGSTER   (2007)


 1970年代のニューヨーク、ギャングのボス バンピーの亡き後を継いだフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、東南アジアから直接ヘロインを仕入れる独自のルートを開拓し、“ブルー・マジック”というブランド名で 当時流通していたものの倍の純度100%を半額で市場に売り出した。それは今まで麻薬産業にかかわっていた者から職を奪い、何より客の悲劇をより増大させました。そういうシーンって チラッとしか映らないけど、それで充分伝わるし、それがまた無くてはならないと思いました。だってフランクって ヒーローとかスターのようでいてそうじゃないって、それも事実に基づく物語なんですから、悪いヤツそのものなんだって認識しないとね。
 仕事の内容を無視すれば フランクの経営手腕は見事で、彼は麻薬王として暗黒街に君臨していきます。富を得て親族を呼び寄せ、母親への愛情深くまた家族愛豊かなようでいてそう単純ではなく、ブルー・マジックを売りさばく拠点に頼りないけど親族を配置して目の届く状態にしています。派手に振舞ったりせず上品で紳士的に見えて、それは自分の存在を目立たなくするためでもあり、時として拳銃の引き鉄をひくとことなど躊躇せず冷酷さを見せます。ハーレムの人たちに施しを配ったりする一方で、ブルー・マジックで人々の人生を奪っているのです。
 また、ニュージャージー警察の刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、警察内が汚職や賄賂にまみれていたこの時代に、間違ったことはけっしてしない姿勢を崩さなかった。印の無い札で100万ドルを見つけ、間違いなく誰だって着服するのが当然という”常識”に逆らって 署に届けたことは、その後どこに行っても呆れられ軽蔑すらされてるふうです。そんな彼に愛想をつかせた元妻とは養育権で係争中。努力のかいあって1970年には司法試験にも合格するけど、彼の生活は何も変わることなく、フランクのようにある種の尊敬や家族の愛情につつまれることなく 周囲から孤立しています。
 そんなリッチーだったので、ある日 麻薬撲滅への気合いを入れて発足されたエセックス郡麻薬捜査班のチーフに抜擢されます。狙いはブルー・マジックの総元締め! それが誰だか世間や警察には分かっていないんですよ。捜査を進めるリッチーには、賄賂やら同僚警官の汚職隠蔽の 誘惑だったり強要だったり、それでもやっとフランクの存在に辿り着きますが、ついには二人面と向かって取り引き話まで・・・。さて結末は・・・というドラマでした。
 いろんな要素のある映画かな〜とも思うけど、UKIUKIはサラ〜っとね、二人の善悪は はっきりしているし 二人の生き方って対照的だけど、独自の道を切り開いたり貫いているという意味ではそれぞれに魅力的、っで どちらが幸福かって考えたときに どちらも割り切れない人生のようで、まあなんとなくそんなこと思いながら眺めていました。 (Comment2008.10.31)