My Comment

ディパーテッド


 すご〜〜〜くお気に入りの香港映画『インファナル・アフェア』→My Comment をリメイクしたハリウッド版なので、つい比べてしまって・・・。インファナル・シリーズ3部作のうち、1作目はそれだけで映画として成立していました。これは、ほとんどその1作目とリンクする内容でした。
 やはり、UKIUKIは『インファナル・アフェア』の方が単純に”好き”。観終わった後もずうっと心を引きずられてしまったあの感覚・・・登場人物それぞれが、実在した人物のように あの人生を生きたことを心に残しておこうと思わずにはいられないような余韻が残りました。疑い騙し合い 生きるか死ぬかの世界でギリギリの緊張感の中、本来の自分に戻りたいと切望した者、違う人生を生きたいと葛藤する者、それぞれに関わる人々の間に生まれる情にも溢れていて、何かにつけて 深く描かれていたと思うのですが、あれはたぶんアジア人的精神に染み込んでくるものだったのでしょうね。。。
 『ディパーテッド』を観ていくうちに、改めて 制作する人も観客も精神構造が違うのね きっと・・・って思いました。だから どちらがどうこうっていうよりも、これはこれで楽しまなくっちゃ〜〜〜ってことです。

 マフィアに潜入した警察の男ビリー・コスティガンにレオナルド・ディカプリオと、警察に潜入したマフィアの男コリン・サリバンにマット・デイモン、これ反対だったら成立しないな〜〜〜って、納得のキャスティングでした。と同時に、全く別の俳優さんだったら、たとえばもっと哀愁漂う感じになったかな〜とか、余分なこともふと考えたりしちゃいました。それと、マフィアのボス フランク・コステロにジャック・ニコルソン。まあ 彼らの雰囲気だったわけです。
 レオナルド・ディカプリオは、UKIUKIは見ためは特に好みというわけでもなく、でも彼の演じるキャラクターは 今まででも気持ちの部分を感じることができるな〜って思って、けっこう好きな俳優さんです。
 だからこの作品でもなんとかビリーにだけは、いつ自分の正体がバレて殺されるかわからないという恐怖だけでなく、犯罪者の一族に生まれた自分の運命にまとわりつかれた人生の悲しさのような 心情的な部分を感じることができました。それでも、警察官であることのプライドの意味が正義感とか善人でありたいということまでは描かれず、彼がどう生きたいと望んだかというあたりが少し弱かったように思いました。
 またビリーは、カウンセリングを受けている精神科医のマドリン(ヴェラ・ファーミガ)の前では、ふと本来の自分でいられたと思いますが、彼女とのベッドシーンは必要ないって思いました。
 ところで、自分に何かあったら開けてほしいとビリーがマドリンに渡した封筒。・・・あの中身に残された者たちが彼の生きた人生に様々な想いを募らせる・・・はずなのでは? ところが封筒には全く触れずに、物語は終わってしまいました〜。勿体ない。。。

 コリンについては、自他共に認める高い能力で警察内での信頼を得て 重要なポストに配属されていく人物というのにピッタリのマット・デイモン。そんなコリンが、コステロに目をつけられ かわいがられて育って、内通者となるためコステロの指示で警察官になったという自分の人生をすっかり受け入れているのです。コステロへの恩を感じているのか、マフィアの恐ろしさが身にしみて解っているからか、優秀な自分が まっとうに生きることはできないのかという葛藤は見られなかったです。

 結局この作品は、ビリーとコリンの情報を基に警察とマフィアが息詰まる (ほどだったかどうか・・) 攻防を繰り広げたり、ビリーとコリンがお互いに相手側のスパイを捜し出そうとし また反対に捜し出されそうになるという、ドキドキ感を楽しむ作品と割り切って観るものになっていたと思います。ラストは 呆気なかったですね〜〜〜! 余韻に心を支配されることなく観終わったって感じでした。『インファナル・アフェア』の素晴らしさを再確認しつつ、これはこれで 楽しみました。