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SAYURI


 ラストまで見届けた瞬間、思わず心の中で拍手&大笑いしてました。いえ、抑えきれずに笑い顔(苦笑い?)には充分なってました。あまりに見事に、これはハリウッド映画なんだ!!って主張されちゃったな〜って思ったんです。
 だって約2時間20分の長編作、上手い具合に ちゃあんと”さゆり”には感情移入できて、彼女の夢を自分のことのように感じて、でも芸者さんの世界ではそんなの叶わないのよね〜って思いながらずうっと観てて、いかに切ないラストを上手く演出してくれるものかと期待してたりしたら、なんと・・・スッキリさっぱりとハッピーエンドなんですもの☆ 潔い!! これって誤解しないで頂きたいのですけど、ガッカリしたのではありません。よかったね〜、さゆり♪ って思いましたもん。幸せな気分で観終えることができて良かった〜って、素直に思ってます。

 時代設定が第二次世界大戦の戦前から戦後ということですが、何となく昭和初期までくらいの印象でした。幕末の芸者を描いたドラマの原作本『輪違屋糸里』をちょっと前に読んだので、重なる部分もけっこうあるなぁ〜って思いながら この映画を観ていたのですが、ドラマ(O.A は今より2ヶ月程後です)のラストはたぶん単純なハッピーエンドにはならないと思いますので、ドラマの方が もっと余韻の残るものになりそうです。そちらの方も、楽しみです。
 ところで 「〜糸里」読みながらイメージした 名の知れるほどになった芸者は、もっと豪華絢爛で品格が高い感じだったので、この映画の芸者を観て それほど凄い!!って感じはしなかったのですが、それは時代背景などもあるのでしょうか。
 それでも、アーサー・ゴールデンの『さゆり』(文春文庫刊)が原作で、スティーヴン・スピルバーグが製作に名を並べ、ロブ・マーシャルが監督だそうで、スタッフもキャストもそれぞれに才能のある方たちが集結して、多額の予算もついたでしょうから、さすがに映像の素晴らしさやら内容の濃さは感じました。

 今さらですが これは、貧しい漁村から9歳で花街の置屋に売られて来た少女 千代が、希望も無く辛い下働きの日々に出会った”会長”と呼ばれる一人の紳士が 彼女の希望となって、また”会長”に会いたい、彼のいる世界に近づきたいと思い、花街一の芸者“さゆり”となっていく物語です。
 ハリウッドに芸者を描かれてしまうなんて・・・という違和感が 正直あったりもしたのですが、思っていたよりは わりと自然に観ることができました。

 それというのも、始めのうち けっこう長く千代(さゆりの少女時代)役の大後寿々花(子役)を観ているうちに、とっても上手だし可愛いしすっかり気持ちを掴まれちゃったんだと思います。 ”さゆり”のチャン・ツィイーは良かったけど、こんな感じなら、日本の女優さんでも演じられる方が確実にいるような気がしました。でも興行的に考えて、ヒロインには世界的な知名度が必要だったのかな。
 初桃のコン・リーも 豆葉のミシェル・ヨーもすごく役に嵌ってたけど、おかあさんの桃井かおりがその場をギュッと締めてたわ。低い声だし腹の据わった雰囲気で、それって怖さとか強さとか冷たさを感じさせられるというより、若い頃のいろんな感情をもう全部消化して今があるっていう貫禄のようなもの。。。おカボ(ってネーミングが??ですが)の工藤夕貴も いい味出してました。
 そして 後になりましたが、会長役の渡辺謙は いやらしくない優しさが出せてて、会長という人物は女性にも友人にも誠実な感じの男性で、とっても素敵でした。”会長”への想いに共感できたから、”さゆり”の全てを受け入れちゃったような気がします。