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ラブソングができるまで


 いきなり80年代バンド“PoP!”のアレックス・フレッチャー(ヒュー・グラント)に笑っちゃいました。CG使ってるの?ってくらい、ヒュー・グラントが成りきりなビジュアル&腰振りダンスでボーカルしています。
 今のアレックスは、新しいことなど自他共に期待していないという過去に生きる元ポップスター。なんとも冴えない普通の人って感じなんだけど、遊園地で興行していて、「いざ”ポップ”な顔で!」って 一瞬で元ポップな雰囲気に変えるの、実際こんなのなんだろうな〜と なんともリアル感があります。それにしても彼の歌って、けっこう耳触り良くって素敵〜♪

 そしたらなんと、今人気絶頂の歌姫コーラ・コーマン(ヘイリー・ベネット)に、タイトル”愛に戻る道”で新曲を作ってほしいと依頼が来て、それが採用されれば復活のチャンス! ところがアレックスはなんとか10年ぶりという曲作りには取りかかったものの、もともと作詞は大の苦手で作詞家頼みなくせに波長が合わずに悪戦苦闘していたら、たまたま観葉植物の手入れに来たソフィー・フィッシャー(ドリュー・バリモア)の口ずさむ詩に新鮮さを覚え、彼女を説得して曲作りの共同作業を始めます。

 この物語、”キュートなラブ・ストーリー”ということになってますが、ラブラブ感を前面に出すこともなく、また好きで好きで堪らない届かない気持ち・・・みたいな二人の描き方でもないんです。UKIUKIの観た感じでは、それより二人の生きてきた人生の殻を破っていく ちょっとしたヒューマンドラマのようなんです。
 でも二人で曲を作りながら、お互いを語り合い、それぞれに過去を引きずる者同士だと分かってきて、気持ちをぶつけ合って・・・、仕事での関係ではありながら、お互い上辺だけでなく人として向き合っていくうち、気持ちが寄り添ってきては また反発しあう。そして気づかないうちに、かけがえのない人になっていたということでしょうか。。。
 いわゆるラブラブ感をアピールしない展開なのに、ラブ・ストーリーとしてラストを迎えても嫌味なく無理な感じがしないのは、流石ラブコメ映画のスター、ヒュー・グラントとドリュー・バリモアです。終始安心感があったというか、気持ちを開放して楽しく観ていられました。

 コーラのワールドツアーに特別出演のアレックス、コーラに作った新曲が始まると思ったら、・・・サプライズでした〜! アレックスの新曲、作詞もしたんですね〜! 彼がピアノで弾き語るのは、彼の心の内そのままの言葉、ソフィーへの想い。あんなふうに気持ちを伝えられたら、なんて素敵なんしょう〜☆ 訳もなく涙が溢れてきちゃったこの心地よさ♪ わりと距離を置いて自分とは重ならない感じで二人を眺めていたはずなのに、この涙は・・・ソフィーの嬉しさと感動に 共感しちゃったのかな。
 新曲”愛に戻る道”をアレックスとのデュエットで歌うコーラが、人気のためにファンに媚びてエスカレートしていた大胆なセクシーダンスを封印し、アレックスとソフィーとコーラ自身共通の ”過去の影をを引きずる心の内の葛藤”を、飾らない感じに歌うのも とっても良かったです。