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大停電の夜に


 雰囲気に流されたのか、何となくいい後味でした。楽しみたくって映画を観てるんだから、まあ良かったってことです。でもね、UKIUKIにも好みっていうのはあるから、専門家が観たらいい俳優(女優)さんでもUKIUKIにはちょっと・・・とか、不倫やら隠し子やら・・・なりふりかまわずなんて共感もできないし、心にしまってあった昔の大切な人っていうのはジーンとしないでもないけど、ひとつひとつのお話はそんなに心地良くもなかったし心惹かれる感じではないな〜って感じ。
 世の中いろんな人がいるんだから、非常事態だし、ワケありの人ばかり集めたらこれくらいの物語どれだけでもできちゃうんでしょう。そして、絡み合っていくというのは、はじめから予想できるように作られています。じゃっどんなふうに絡んでいくのか楽しもうと思って観てるわけで・・・、絡んでいくんだけど最後は無理やり完全にひとつにまとめるというのでもなく好感持てたし、あれ〜〜〜?いい雰囲気で終わらせてくれちゃった。

 そのなかで叶のぞみ(田畑智子)は良かったな〜。彼女はずっとお向かいの木戸晋一(豊川悦司)を見つめて過ごしてきて、この夜やっと一緒に過ごす時間を持てたんです。そして自分の気持ちを話したりするのでもなく、木戸の謎めいた部分を解き明かしていくのです。彼女のこと木戸には何も伝わらないけど、UKIUKIはずっと彼女の内面を感じながら観てるんです。ずっと木戸の幸せを願い、最後の方では美寿々(井川遥)の辛さにも気づいてあげる素敵なのぞみを見ながら、そしてラストに木戸からNY行きのチケットをプレゼントされて「好きな男とでも行っといで」って言われるの、彼女の気持ちに心の中でウルウルしてしまいます。それに蝋燭って、あんなにいっぱいに火をともすととっても綺麗なのね〜。映像的にも素敵なジャズバーのシーンがお気に入りです。
 あと乳がんの手術前日のモデルの女性 梶原麻衣子(香椎由宇)と中学生の男の子 田沢翔太(本郷奏多)の物語は、最後まで独立していた(?)と思うのですが、なんとなく好きです。星(人工衛星)を眺めてたりしてるからかな〜(笑) 恋愛感情や友情があるわけでもなく一緒に時を過ごし、麻衣子はカッコつけることのない思いを翔太に話し、若すぎる彼がそれをただ受け止めるんです。そして麻衣子は自分を変えることができたんです。
 UKIUKIの今の気分としては、苦しいような切ないお話は間に合ってますので(笑)あとはちょっと切なくてもなんかもっとオメデタイいほどロマンチックな物語だけ集めてほしかったな〜なんて気分で観ていたら、最後の最後になぜかロマンチックな雰囲気になっていくんですもの。。。

 クリスマス・イブの夜、東京を含む首都圏全域に大停電が起こった。停電になったから、いつもなら素通りしてしまう相手と過ごすことになったり、いつもはテレビや機械的な騒音の中で何気なく過ぎていく時間に相手と向き合って過ごすことになったり、薄暗く静かでゆったりとした時間のなか、いつもは気づかないことに気づいたり、見えないものが見えたり、言わないことを言ったり、こんなときこそと思い切って出かけていったり・・・、そして朝を迎える頃には、しっとりした雰囲気の今までとちょっと違う気分の日常に戻っていったのでした。