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旅するジーンズと16歳の夏


 母親のお腹にいるときからずーっと共に時間を過ごしてきた仲良し少女4人組ティビー(アンバー・タンブリン)、リーナ(アレクシス・ブレーデル)、カーメン(アメリカ・フェレーラ)、ブリジット(ブレイク・ライヴリー)。彼女たちは容姿も性格も違う者同士なんだけど、ずっと支え合い気持ちを分かち合い強い絆で結ばれてきました。そんな彼女たちが、16歳の夏休みを初めて別々に過ごすことになりました。
 リーナはギリシャの祖父母のもとへ、カーメンは別れて暮らす父のもとへ、ブリジットはメキシコのサッカーキャンプに参加します、ティビーは地元に残りスーパーでバイトしながら映画作り。
 そんな出発の前日、体型の違う彼女たちの誰が履いてもピッタリの1本の不思議なジーンズと出会います。きっとこれは幸運のジーンズだと思った彼女たちは、その夏順番に着回してその間の出来事を手紙に書いて伝え合おうと約束したのでした。

 4人を演じる女優さんたちって今まで出会ったことなかったのか、UKIUKIの記憶には残っていない方たちなので、4人がもうどこにでもいるような少女たちのようでした。それで前半観ていて、なんとなく普通な感じ、それぞれの物語にも特に感情が沸いてこないし、やっぱり今のUKIUKIはまだ映画を観る気持ちがどこかに行っちゃってるのかな〜と思ったりしてました。ところが・・・、どこがきっかけかわからなかったけど、気がついたら彼女たちに共感しまくり! 後半は自分でも不思議なほど泣きっぱなしでした。
 リーナの物語は出来過ぎな感じもしましたが、表に見えてる部分じゃなくて内面の自分を受け止めてほしいとずっと思っていた彼女をちゃんと理解してくれる人に巡りあえたのに・・・。彼女は精神的に華奢なようでいて、最後には自分で新しい一歩を踏み出しました。彼が教えてくれたのかな、でもそれがこれからは彼女本来の姿なのですね。
 カーメンの父親への失望や自分の存在を忘れられている疎外感、怒りを抱え込んでしまった姿は見ていてすごく悲しかったです。ティビーに背中を押してもらって父親に正直な気持ちをぶつけたことや、3人に引っ張られて父親の結婚式に出かけていったことで、父親の気持ちがやっとカーメンに向いてくれて心が通い始めました。ほんとうに良かったね〜と思って涙が溢れ、笑い泣きしてました。
 ティビーは特別な所に行くわけでもなんでもなく、ちょっと拗ねた気分でドキュメンタリー映画製作で夏休みを過ごすはずだったけど、ベイリー(ジェナ・ボイド)に出会ったことで心で人を見るってことに気づいていったのだと思います。ティビーにまつわりついてきたベイリーはちょっと鬱陶しかったんだけど、時間が足りないのが怖いって言う彼女は自分が生きてた意味を探していたのかな、見ていくうちに実は人を見る目があって聞き上手、大人の気持ちまでもちゃんと受け止めてくれていたってわかるんです。二人の出会いこそ幸運なこと(魔法)だった、幸せってさり気ないものだというようなこと、時間が終わってしまうのを前にしてベイリーは言ってくれました。ベイリーの残したビデオを見るティビーの穏やかで素敵な笑顔は、はじめの頃の表情とは別人のように違っていると思いました。目的のはっきりしてないようなティビーの映画作りだったけど、いい作品ができたようですね。
 でも他の3人に比べてブリジットは、明るくハイテンションなのもあそこまでいくと見てるの嫌になるほど印象悪かったけど、それは元気だった頃の母親と一緒にいるような気がするからだったこと、自ら死を選んで逝ってしまった母親とは違う自分でありたいとの思いがあったからと知って、彼女のことも愛おしくなっちゃった。

 この夏みんな変わったというか、成長したんですね。自分に正直になれたり、勇気が出せたり、人を見る目が変わったり、というより変えていけばいいんだと気づいたり・・・。個性の違う4人が違う環境で違う経験をしたことで表に出てきた堪らない気持ちや悩み、4人が再会しても変わらない友情がそこにあって、気持ちを受け止めてくれたり、一人では無理なときには寄り添ってくれる仲間のままであったことがとっても良かったです。とにかく2人、3人、4人と再会してそれはもう賑やかなんだけど、気持ちのいい涙があふれて止まらないのでした。