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香港国際警察


 今までずっとレンタル屋さんで何度見かけても手を伸ばそうとは思わなかったけど、高評価を目にしてしまったときから気になっていた作品です。

 でもはじめは落ちぶれて飲んだくれの刑事(チャン警部:ジャッキー・チェン)の汚い姿、警官皆殺しの残忍なシーン、あんまり好きじゃないな〜この感じ・・・って観てたんだけど、“巡査1667”ことシウホン(ニコラス・ツェー)がチャンの前に現れたあたりから、どうなっていくんだろうとちょっと興味が出てきました。チャンの元婚約者ホーイー(チャーリー・ヤン)の誕生日シーンで、9名の部下を皆殺しにされたチャンの”自分を許せない気持ち”がひしひしと伝わってきて、それから観る気が高まりました。

 それは1年前、銀行襲撃犯でコンピューターゲームオタクの金持ち息子たちが、ゲーム感覚で警官殺しを楽しむ卑劣な犯行でした。中には警視正の息子ジョー(ダニエル・ウー)も。彼は父親からの虐待と母親からの溺愛で、酷い育て方をされてきたみたい。それが警官への憎悪に転化しているようです。
 彼らのゲームは再開した。再び銀行強盗を企てています。

 シウホンはチャンの部下だったコウの弟だと名乗り、チャンに復帰を勧めます。チャンの相棒になりきったシウホンだけど、実は・・・。と、最後まで観ると彼がずっと持ち続けてきたチャンへの気持ちがチャンをどん底から救ったこと、この物語を支えているってことがわかり、シウホンの思いやチャン本来の姿を感じることが隠れた一番の見どころだったと思いました。

 それとやはりアクションは見どころ。ジャッキー・チェンはもちろんだけど、ニコラス・ツェーも身軽な動きでカッコイイ! ロープ伝いにビルの外壁を滑り降りる方法ってあんなにあるのね。あそこ、すごく楽しめました。カー(バス)アクションも凄かったしね。後半のアクションも迫力ありまくりでした。

 皆殺し事件の真相をサムに明かされ、その後はチャンの気合いも復活し、パワー全開です。しかしホーイーと愛を確かめ合ったシーンで突然泣かせてくれた直後の惨事。そしてチャンもシウホンも逮捕され、卑劣なゲームをどう食い止めるというのか。この思いっきり緊迫した状況でのユーモア(?)いえ人の心に助けられて、彼らは再び悪党息子どもを追います。このあたりからその後の展開がとってもよくできていました。ジョーのどうにもならない気持ちも感じることができたし、またチャンは、どんなに憎い犯人の命も見放すことなく、いつも救おうとしてきたことに気づきました。最後のチャンとホーイーは何だかな〜って気恥ずかしいようなプロポーズでしたが、そのくせシウホンの去り際がサッパリしていてニクかったです。

 そして最高のラストシーンは・・・。途中からチラッと感じていたシウホンの気持ちの中心にある出来事を、そ〜っと観せてくれました。なんという、後味の良さ。繰り返しになりますが、最後まで観るとシウホンがずっと持ち続けてきたチャンへの気持ちがチャンをどん底から救ったこと、この物語を支えているってことがわかり、振り返ってチャンという人物の人柄を想うと、この作品、ただのアクション映画ではなく・・・、おもいっきり見応えあるアクションの連続でありながら、ちゃ〜んと心に響く物語でした。
 あぁ〜・・・観始めてしばらくの間に感じていた雰囲気とのギャップの大きいこと。高評価に納得!でした。