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マイ・ボディガード


 元CIAの特殊部隊員だったジョン・クリーシー(デンゼル・ワシントン)は、もはや神に許されるはずがない過去の任務に心を痛め、心を閉ざしてアルコールに頼ってやっと生きているという状況の中、部隊の先輩だったポール・レイバーン(クリストファー・ウォーケン)に誘われ、誘拐事件が多発するメキシコで実業家の娘ピタ・ラモス(ダコタ・ファニング)のボディガードになった。

 心を閉ざし無気力だった彼が、しだいにピタとのかかわりに前向きになっていく様子が見どころでした。ピタがただ可愛い少女というだけでは成り立たない物語、彼女の芯の強い部分をしっかり出せて、それでいて生意気な感じにならないダコタの演技がすごく良かったです。「宇宙〜」では彼女が生かしきれてなかったと思いましたが、どちらかというとB級っぽい雰囲気を作っているこの作品で彼女らしさが生かされているような気がして、またデンゼル・ワシントンもカッコ良さをアピールするような作品でないところで熱演してるって感じで、なんとなく見入ってしまいました。
 ただ内容的には、いくら経歴はスゴクてもアルコールの臭いがプンプンであろう男に、何の抵抗もなく慕っていくピタや彼女を任せられる信頼感を持つ父母にまず驚きます。実際クリーシーは本来誠実 な人物であるということが、観ていくうちには分かりますけど。その後も、あれ〜・・・と思うことは気にせずに、観ているシーンの奥にある事情などに思いを馳せて味わう作品だと思いました。そして彼は本気でピタを守ろうとしたけど守りきれずに誘拐され、後半は彼女を救うべく立ち向かっていくのですが腐敗した社会の陰謀にのみ込まれていって・・・、不安定に映像を揺らしたり何やかやでもう、雰囲気で突っ走っていく展開をあれこれ考えずに観ていたような気がします。