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ネバーランド


 劇作家ジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)が「ピーターパン」を誕生させたときの物語と聞いてもそれほど興味はなかったし、現実と融合させたらネバーランドの夢が台無しになるんじゃないかと思ったけど、意外にも素敵な物語になっていて良かったです。
 子供心を忘れてしまった大人でもなく現実離れした変人でもない、大人としての現実感や劇作家としての目的を持ちながらも、現実と空想をつなぐ時間を過ごすジェームズはもうジョニー以外考えられません。子供のように子供と遊ぶけど、現実を真剣に生きている、どちらの姿も同時に共存して違和感のないところが彼らしいと思いました。またラブシーンなど無くても深い愛情が感じられるし、カッコ良くてセクシーな瞬間が所々にあって嬉しかったです。

 公園で出会った未亡人シルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と4人の少年たち、この家族と過ごす時間の中で、特に大人への不信感をもつピーターとの関わりから、ジェームズによって夢とか想像力とか信じる力の大切さが新作劇に込められていく。それは夢が現実になる世界”ネバーランド”なのでした。

 作品の中で印象に残ったこと・・・。
 ジェームズが”大人になる瞬間”について語っているところ。
 「信じれば現実を変えられる」と言いながら、「変えられない現実もある」ことをきちんと受け止めていること。
 「死ぬって大冒険」という言葉が出てきましたが、そうだ”ネバーランド”って死の世界と重なるような気がします。
 シルヴィアといる時間が長くなって、妻メアリーとの気持ちが離れていくのが悲しかったけど、新作劇は大成功。劇を観る子供の無邪気な表情が最高でした。そんな子供たちが大人たちの心を解放させたのでしょうね。
 ジェームズがシルヴィアに「いつか連れて行ってあげる」と言ったネバーランドを最後に見せた瞬間、涙が止まらなくなりました。