Please Choose the Title :    

ボーン・アルティメイタム  THE BOURNE ULTIMATUM  '07 
ボーン・スプレマシー  THE BOURNE SUPREMACY  '04 
ボーン・アイデンティティ  THE BOURNE IDENTITY  '02 

















ボーン・アルティメイタム



 “ジェイソン・ボーン”シリーズ3部作の完結編ということで、前作に続きボーン(マット・デイモン)は、自分が危険人物として抹殺されようとする謎に何が隠されているのかを求めて闘います。どうしても埋まらない記憶の穴に何があったのか、その穴を埋めようとして浮かび上がってきた”トレッドストーン計画”からグレードアップしたという“ブラックブライアー計画”(←冒頭一回だけ(かな?)、この字幕に”黒バラ作戦 ”の表示も並んでいました。同じことだったのか〜・・)、これは何を意味するのか、ボーンとの関係は。。。ボーンやこのキーワードに関わりを持とうとする人物も、ボーンと共に容赦なく抹殺の対象になっていくのでした。

 お気に入りの前2作を超えるドキドキハラハラ感で、すごくおもしろかったです。今の感じでは、アクションシーンはUKIUKIが今までに観たなかで、いちばんおもしろかったな〜と思ってしまう気分です。ヒーローのもっと超人的なアクションは多々ありましたが、これは現実離れした突拍子も無いアクション(かもしれないけど・・)という印象ではなく、現実感があるというか実戦的に極めぬかれた技☆というか・・・そういう感じです。
 でもアクションを単独で楽しむというより、追い迫ってくる者たちとのギリギリの駆け引きと絡み合っているのが見所です。モスクワ→パリ→ロンドン→マドリッド→タンジール、追跡者(暗殺者)がすぐそこまで迫り来る極限の状況が次から次へと続きます。そしてこともあろうに彼の抹殺指令が発信されているニューヨークに”戻って”、悪夢の原点であるブラックブライアーの秘密に迫ります。

 英国の新聞に掲載されたボーンの写真、そして記事は極秘プロジェクトであるはずのブラックブライアー計画の存在に触れていた。
 ロンドンに入ったボーンは、その情報源を求めて新聞記者のサイモン・ロス(パディ・コンシダイン)に接触しようとするのですが、CIAもまた追跡網を張り二人を抹殺せんと暗殺者パズ(エドガー・ラミレス)を送り込みます。ボーンが間近に迫る追跡者らをかいくぐるようにサイモンを巧みに誘導していくのが、凄かった〜〜〜!! そうしながらも敵の攻撃に対し、俊敏な身のこなしで対応していく。心臓がドキドキしてきて、すごい緊張感で観てました。
 結局サイモンは怖気づいてボーンの指示通りにできず射殺されてしまいましたが、彼に知らされた情報をもとに、ボーンはマドリッドに入ります。CIAマドリッド支局、情報源の支局長ダニエルズは姿を隠していた。そして1,2作でも登場したニッキー・パーソンズ支局員(ジュリア・スタイルズ)と再会。計画サイドにいたニッキーは、ボーンの過去もある程度知っているようで、今回彼女はボーンの協力者となり、彼女もまた追われる立場になるのでした。
 タンジールに入ったボーンとニッキーが、入り組んだ路地や隣接した建物内外を縦横無尽に逃走するシーンも おもしろかったです。
 とにかく、その他前後ほとんど省略しますが、この迫力と緊迫感は、とことん追求されたカメラワークが大いに影響していると思いました。UKIUKIは映画を観るとき、なんていうかスタッフさんの仕事や監督さんの演出すらどうのこうのと意識したり考えたりはあまりしない方で、どちらかというと のほほ〜んと、そして俳優さんの素敵さに注目してるってことが多いのですが、これは凄い!凄い!と思いながら観てて、そしたら映像が目まぐるしく緊迫感をかきたててくれていて、特にパッ!パッ!とボーン目線になって、彼が周りの些細な状況も素早く鋭く見抜くその目線だったり、間近にせまる敵だったり、それがみごとだな〜って思いました。
 それでも彼はもはや殺人兵器ではない。攻撃には迎え撃つけど、とどめを刺すことはしないんです。人を殺したくないんだ!って気持ちが伝わってきます。殺した人々の名前は忘れても、顔を思い出しては・・・と、いまさら償えないことに苦しんでいます。

 ボーン抹殺に疑問を抱いたのは、ニッキーだけではありませんでした。前作でも登場したパメラ・ランディ(ジョーン・アレン)もまた、ブラックブライアー計画というものの存在については知ってしまう立場であり、でも繊細な内容を知らされないという状況で、ボーンや計画に関わってくる人物を抹殺しようと躍起になるノア・ヴォーゼン(デヴィッド・ストラザーン)に不信感をつのらせます。CIA長官エズラ・クレイマー(スコット・グレン)も関わったこの計画を、ヴォーゼンはなんとしても隠蔽しなければならないのです。しかしパメラは、長いものに巻かれるわけにはいかない。そんな彼女の正義感を感じ、信じようと判断して接触してくるボーン。彼女もまた、ボーンの偽りない心の叫びを感じたから、正義感を突き動かされたのかもわかりません。ブラックブライアー計画とボーン自身の秘密に迫ろうとする二人が、サインを送りあってヴォーゼンらを出し抜いていく展開も おもしろかったです。

 ついにブラックブライアー計画の情報を白日の元に晒すことができました。その原点のトレッドストーン計画により、ボーンが”殺人兵器”となった出発点も明かされました。
 なんていうか・・ボーンと共に理解していきつつ、彼の記憶の穴と同じの解らない部分を抱えながら観続けてきたわけですが、ラストはすごく解りやすい結末でした。

 考えてみたら、ボーンの心は過去をどんなふうに整理して(できるのか・・)、彼は今ごろどうしているのか・・・これからどんな人生を送るのか・・・といった、いろんな思いを巡らせてしまいそうな物語なのに、不思議なことにUKIUKIは、嬉しくも悲しくも全くと言ってよいほど 余韻を引きずっていないんです。なんか スッキリ。。。









ボーン・スプレマシー



 お気に入りの「ボーン・アイデンティティ」の続編。
 あれから2年。まだ闇を彷徨う記憶から嫌なことばかりが悪夢になって蘇り、マリー(フランカ・ポテンテ)だけを安らぎにしてひっそりと暮らすボーン(マット・デイモン)に追っ手が迫ります。彼を狙った銃弾でマリーを亡くし、逃げるだけの日々から、なぜまた自分が追われるのか誰がマリーを殺したのか、その真相を求めてボーンは闘いをスタートさせます。

 ボーンの素早い攻撃技術が今回もまたカッコ良い! でもそれだけではありません。とにかく頭が切れるんです。周りの状況をコントロールしていく並外れた能力が、ただの殺し屋とは違いますね。今回の重要な人物CIA女性諜報員パメラ・ランディ(ジョーン・アレン)との接触や、核心の人物を追い詰めてCIA内部の公金横領事件とも絡む証拠を残すなど、見事です。そしてカーアクションでメリハリつけて、いよいよ終盤の展開もけっこう気に入ったし、ボーンの素性がパメラから明かされたのには”突然一筋の光が!”って気分になったのですが、ボーンの心情はいかに?・・・と余韻の残るラストでした。

 2年前のボーンは、自分が誰で何をしてきた人かも分からず、追われることの恐怖心と共に体だけが反応してしまうことに戸惑っていました。今回まだ記憶は戻ってないものの、断片的な悪夢やこれまでの経緯から、自分のしてきたことや置かれている状況をある程度理解しています。だから、彼自身の意思で彼に備わった能力を発揮していて見応えありますし、一方いまや国家に育て上げられた殺人兵器のままではない彼が殺さないことも選択するあたりが見どころです。
 また2年前の逃走劇ではずいぶんマリーに助けられたものの、戦いの場では足手まといでもあったような気がしますが、今回はマリーがいなくなって余分な会話もなく、孤独感とシビアな緊張感に包まれてひとり闘うボーンがすごく良かったです。

 この作品、前作の”トレッド・ストーン作戦(計画)”を引きずっていました。あれっ”黒バラ作戦”は? 前作ラストに映ったマリーの肩のタトゥーが黒バラだったから、冒頭部分のこと? ”トレッド・ストーン作戦”は終わったと言われながら、その真相は不明で決着がついていないようなんですけど、続きはどうなるのかな〜、期待したいです。









ボーン・アイデンティティ



 背中に2発の銃弾と銀行の口座番号を体内に埋め込まれた男(マット・デイモン)が、漁船に救助された。ところが彼は記憶喪失になっており、自分の名前すら思い出せないのだった。
 早い段階で、政界復帰を狙っているウォンボシ氏の暗殺に失敗し行方不明になったCIA工作員だろうと予想させる展開ではありますが、記憶喪失とかCIA工作員とかってUKIUKIのツボですもん、とにかく彼の自分探しにドキドキハラハラでつき合うことになりました。

 唯一の手がかりである銀行には彼の6冊のパスポートと札束がどっさりと拳銃などが預けられていた。自分の名前はジェイソン・ボーン、実際何カ国語も操り、自分が何者か分からないうちに命を狙われているらしい危険を感じ、並はずれた攻撃の技や逃げ方やドライビングテクニックを体が覚えている。
 ボーンが現金と引き換えにマリー(フランカ・ポテンテ)の車に同乗させてもらったことで、二人に指名手配がかけられる。

 工作員である時は内に秘めていたのであろうと思われるボーンの誠実そうな人間味ある部分と、命を狙って執拗に追ってくる者に対する体で覚えている殺し屋の技や習性が、自分が何者かも分からない戸惑いの中でも混在して待ったなしで出てくるところが見所でした。
 マット・デイモンの力強くキレのあるアクションにびっくり。''米国政府が3000万ドルをかけて育てた殺人兵器''だそうで、さすが殺し屋のエリート、技も身のこなしも見事です。しかしこれほどの工作員がなぜ任務に失敗したのか?!、大詰めにきて彼の記憶の回復と同時に判明するその理由に「そうだったのかー!」っと納得させられるところが良かったです。それまでの彼の描き方にダメ押しとなっていて見事でした。高度な訓練で鍛えられたであろう肉体と頭脳に、彼本来の精神が同化しなかったゆえの任務の失敗でしょうか。。。各地に存在する工作員、ある時はお互いを殺す任務にも従うとは・・・、彼らにもまたドラマがありそうなところが、物語に深みを加えていました。
 その後もうひとつダメ押しのタネ明かし''踏み石(トレッド・ストーン)作戦''の結末には、トレッド・ストーンは誰が?最初から?途中から?頭痛との関係は?何よりこれは訓練なの?目的は?とか字幕で理解しようとするからか正直スッキリしない感じでしたが、まあいいです。
 最後に何ヶ月か後・・・、表情まで別人のようになった彼は、本来の自分を取り戻したようで最高の笑顔でした。・・・しかし、''黒バラ作戦''とは。。。