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東京ゴッドファーザーズ


 これはUKIUKIがアニメにもっていたイメージとはほど遠い、ドラマそれも涙あり笑いありの人情ドラマです。ワケありの過去を持つ主人公三人は、・・・なんとホームレス。彼らがクリスマスに捨て子をひろってしまいました。いちいち汚らしいんだけど〜、臭いが伝わってくる感じがしないのは良いんだか残念なんだか。。。

 妻も子もいたという自称元競輪選手の「ギンさん」、いやまだ秘密の過去がありそう。人生に諦めてしまっていてどうしようもないおっさんのようで、でも微かな希望もチラッと見えてきて、すごい哀愁が漂っています。
 オカマの「ハナさん」が赤ちゃんに夢中になり物語が始まったのですが、''彼女''が初めて赤ちゃんにミルクを飲ませるシーンを見た瞬間、あっ!これは本物だってこの作品に引き込まれてしまいました。周囲の音が消えて時計の音だけがかすかに聞こえ・・・、この子が世界中でいちばん可愛いかもしれないと思えるとき、いつまででもこうしてこの子を眺めていたいと思うとき、外の情景も無音のまま映されて・・・、この子だけがすべてのときなんです。物語が進むにつれて、愛に恵まれなかった彼女の悲しみや怒りが響いてきます。赤ちゃんの母親を捜して・・・と、人生を諦めていない彼女の情熱が好きです。顔はブサイクだけどね〜、お尻ふりふり歩く姿やらなにやら面白いのよ。
 家出少女の「ミユキ」は、父がまだ彼女を愛していることに気づき葛藤します。彼女には、きっときっかけが必要なのね。

 三人が、赤ちゃん騒動しながらそれぞれの人生を紐解いていく物語、じんわりと良かったです。むちゃシリアスになったかと思えば、おっと大騒動。ジーンとさせられたかと思うと、ころっととんでもない展開へと流れていく。大衆劇場のアニメ版みたい。実写のドラマだったら文句いっぱい言ってしまいそうだし、だいいちホームレスが主人公でもねぇ、それも赤ちゃんを連れ回して、ところがアニメなのですっかり楽しめてしまった!! 偶然の出会いが次々と出来すぎなのも、スパイダーマンだったっけというアクションも受け入れちゃいます。アニメらしくない物語の、アニメならではの作品でした。