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テープ


 場面はモーテルの一室、登場人物も3人だけという、すごい冒険!あるいは自信!もしかして制作費節約かと冗談交じりに思ってしまうこの作品、UKIUKIとしてはイーサン・ホークが出演していなかったらきっと手を出さなかったでしょう。
 面白いわけでも感動するわけでもこの雰囲気が好きなわけでもないのに、最後まで目が離せなかった。それはミーハー感覚というか、ワイドショーつけてついしばらく見てしまうような感じと言ったら失礼でしょうか。でも観てしまって、な〜んだ!とガッカリしたり腹が立ってしまう映画というわけではありませんでした。

 内容はサスペンスというほどでもなく、ヴィンセント(イーサン・ホーク)が高校時代の友人ジョン・ソルター(ロバート・ショーン・レナード)を呼び出し、いまだにこだわっているある日の出来事をぶり返そうとします。そしてジョンの告白を無断でテープに録ってしまったことから、緊張感がグッと高まり、先が見えない危ない雰囲気が漂います。さらに彼らがそれぞれにつき合っていたエイミー・ランテル(ユマ・サーマン)もやって来て、あの日についての三人三様の正直な思いが吐き出されていきます。
 汚れ役のイーサンを見ているだけでも興味深かったし、ジョンが自分に近い感覚の持ち主のようで気になるし、撮影の流れにすごく現実感が出ていたと思います。舞台用だった脚本だそうで、俳優の演技と撮影のセンスで映画に仕上がったのではないでしょうか。イーサンとユマは私生活を感じさせないですね〜。

 見ているのが嫌になるほど汚すぎず暗すぎずほとんど暴力的でもなく、ふと感じる危なさに転げ落ちていくわけでもなく、それがUKIUKIとしては観たくない気分にならなくて良かったし、主導権があれっ!という間に3人の間を次々移り変わっていくので、いったいどうなるのかと最後まで見届けてしまった感じです。予想に反して、キレイにまとまっていた作品でした。87分はほどよいと言うより、ギリギリですね。