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スパイ・ゾルゲ


 第二次世界大戦時日本とドイツの機密情報をモスクワに送り続けたスパイ、リヒャルト・ゾルゲ(イアン・グレン)と彼に出会って諜報活動へと身を投じていった尾崎秀美(本木雅弘)ら、平和を希求し戦争を回避しようと行動した者たちの物語。
 淡々と進むストーリー。アクションやサスペンス的な楽しみもないし、正直退屈な感じもする約3時間。なのに・・・余韻の残る作品でした。

 なぜかラストには悔しさと悲しさでいっぱいになり、涙が溢れてきました。それはゾルゲや尾崎らが死んだからというのではなく、命を賭けて彼らがやろうとしたことは個人としては純粋だったかもしれないけど、もの凄い成果を上げていた彼らの活動に結局どんな価値があったのか、組織の中で国にとって世界全体として考えた時に・・・。世界中いつもどこかで争いがあって、いつの時代もどの国にもきっと彼らのような人もいるんだろうけど、結局恒久的な平和はやってこない。
 でもそれが勝つためだけでなく、戦闘や侵略を少しでも防ぐように活かされているのなら、彼らの人生や彼らを想って苦しんだ周りの人たちも少しは救われますように、やっぱり少しは価値があると信じたい。そしてどんなことがあっても戦争って避けなければいけないと、改めて思い知らされました。ちょっと作品そのものからは、ずれてしまったかもしれないです。

 作品的には、凄く興味深い彼らの人生を、表面的な部分だけでなくもう少し深く味わいたかったなーと思いました。