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ソラリス


 やはり聞いてはいましたがラブストーリーでした。宇宙が舞台の物語ですもの、その雰囲気はもちろんUKIUKI好み〜かなっ。でもうっとりと浸れるって感じではなくて、初めて観た時の感想が自分でもあまりにひどかったので、あれ〜っと思いもう一度観たのですが、どうなってるんでしょう全然違った作品のようでした。初めには気づかなかった作品全体に漂っているSFの要素に、あれこれ思いを巡らせることができて面白かったです。
 特に「ソラリス」は今までの概念とは全く別物の惑星。宇宙ステーション“プロメテウス”の乗組員はソラリスの探査をしていたのに、科学的な検証結果とそこで起こっている現象、つまり姿を現す記憶の人たちとの関係はあやふやで、それについてほとんど追求しようとしないのは、物語の趣旨から外れるからとは思うけど、UKIUKIには気になるところです。
 精神科医の助けが必要だと親友ジバリアン(ウルリッヒ・トゥクール)に呼ばれて宇宙ステーションに行ったクリス・ケルヴィン(ジョージ・クルーニー)の前に姿を現したのは、彼の記憶に残っている死んでしまった妻レイヤ(ナターシャ・マケルホーン)。一度は彼女を拒絶するクリスですが、やがて過去の罪悪感と後悔を拭い去るチャンスだと悟ったクリスが、失った愛を取り戻し二度と失いたくないと思うのは理解できるけど、彼女は人間ではないし、ましてやレイアの魂でもないのです。だいたい精神科医としてその状況を打開すべく訪れたクリスが、心理学的なことを何も検証することなく他の人と同じように現象にのみ込まれていくのには少々がっかりしました。そして他の乗組員の''お客さん''の場合を考えてしまったりもすると、かんじんのラブストーリーからはますます気持ちが離れてしまうものの、まあ楽しさが広がる感じはします。
 レイヤらは人の記憶を呼び覚まし救いを差し伸べてくれる存在のようではあるけど、どんなふうに消し去ってもまた現れるという繰り返しを見ているうちに、背筋の寒くなるような怖さを感じてきました。はじめジバリアンがクリスを呼んでおきながら自殺をしてしまったのが納得できなかったけど、後半で「いい方法だと思ったけど・・・。」というのが一つの理屈として解るような気がしました。結局SF的には、皆が気づいていたように彼らを残してさっさと地球に戻るか、クリスのようにソラリスの世界に自分も同化してしまうかのどちらかしか選択肢がなかったような気がします。
 でもラブストーリー的には、たとえその人を誤解していた過去に罪悪感と後悔を感じていても、これではやり直すことにも立ち直ることにもならないと思うし、新しいレイヤとの愛を選んだクリスを素敵だとは思えませんでした。ん〜〜〜UKIUKIはゴードンと重なる人なのでしたー。ロマンチックじゃぁないね。
 あれこれ思って楽しめるあやふやな描き方をしているけど、繊細に計算されているような気もする、もう一度観たらまた何か違ったことに気づくかもしれないと思わせてくれる作品でした。