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ムーンライト・マイル


 不慮の事故や事件で子を亡くすことほど悲しいことはないと常々思っています。もしそんなことが起こったら、立ち直れるなんて考えられません。
 結婚を間近に控えた娘ダイアナを突然失ったベン・フロス(ダスティン・ホフマン)とジョージョー・フロス(スーザン・サランドン)は、その深い悲しみの中、娘と結婚して同居するはずだったジョー・ナスト(ジェイク・ギレンホール)に頼り続けるのでした。ベンはジョーと仕事に打ち込むことで、またジョージョーはジョーがいつまでも娘の婚約者でいてくれることで何とか日々過ごしているものの、なかなか本来の自分に戻れません。そして、ジョーには彼らの悲しみを想うと言い出せないでいる真実があって、彼もまた彼らとの生活の中からは、前向きに生きる自分をさがせないのでした。
 本当のことや自分に正直な気持ちを言い出せないってことは、現実の人生ではあり得ることだし、それが自分の都合だけでなく誰かの気持ちを気遣っているのなら必要悪のようなものです。でもこの物語の状況は辛いな〜。

 ジョーは友達以上になれないという正直な気持ちから、事件の3日前にダイアナと婚約解消をしていたのです。そして婚約者ではなく生涯の友になるはずのダイアナがどんなに素晴らしい女性だったか、今ここにいない悲しさの中、彼女の思いを大切にしたいと語るのでした。真実を語ることで、やっと自分の人生を前に進めることができるようになったジョー。彼の中に親友としてのダイアナの存在を確かに感じることができて、力づけられるベンとジョージョー、彼らもやっとまた自分らしく人生を歩み始めるのでした。人それぞれ状況もさまざまで誰も彼らと重ねられるはずもありませんが、立ち直ることってできるのですね。。。