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ミニミニ大作戦


 ちょっと可愛らしい邦題のイメージによるとミニクーパーのカーチェイスに頼る作品かな、いやCastの顔ぶれを眺めるとそれだけでもなさそうか。。。
 ワ〜ィこれはいける!と、いきなり痛快な金塊窃盗劇に引き込まれました。チャーリー・クローカー(マーク・ウォールバーグ)と彼のもとに集まった仲間が、ほのぼのとした雰囲気さえ感じる6人のチームワークで、銃も使わずまんまと50億円の金塊がぎっしり詰まった金庫を強奪、みごと逃走にも大成功を果たします。ベニスの狭い運河をそんな無茶なっ!ぶつけたらどうするのーっ!!って感じの迫力のボート・アクション。しかし想像力豊かなチャーリーの綿密な計画には、実は金塊を運び出す別ルートが隠されていたのです。
 ところでチャーリーはこの計画のために引退していた金庫破りの達人ジョン・ブリジャー(ドナルド・サザーランド)を誘い込んだのですが、二人しておよそ窃盗などとは似つかわしくないキャラで、彼らが親子のように心を通わせているのが分かります。ジョンは極めた技を持ちながらも人生を後悔し、父親としての娘への想いやチャーリーには後悔しない人生を送ってほしいと願って彼に語っているシーンが心に残りました。また集まってくる仲間たちも悪人には見えないし、金塊の使い道を言い合って喜びに浸る姿は好感度いいんだ。ところがこれだけ楽しんでもまだ始まったばかり、ここで裏切り者が登場しないと話が続かないのでした。

 一年後、チャーリーは仲間と共に金塊の再強奪を計画しますが、殺されたジョンの代わりに声をかけたのはジョンの娘ステラ・ブリジャー(シャーリーズ・セロン)でした。金庫破りの腕は持つものの窃盗は素人。刑務所暮らしで離ればなれになりがちだった父を気遣い、裏切りで父を殺された後も堅実に生きてきたステラに、裏切り者への復讐心が生まれます。父を殺した男の前で冷静さを保とうとするギリギリの感情が良かったです。そのセクシーな面を極力抑えた美しさが素敵です。
 スティーヴ・フレゼリ役のエドワード・ノートン、UKIUKIにとっては「僕たちのアナ・バナナ」「レッド・ドラゴン」の彼が素敵で印象的。この作品では仲間を裏切るのもそうだけど、ステラを口説くとこなんかいやらしい、おまけに最後はなんとも情けないという、ただ一人ムカツクヤツを好演してくれました。
 チャーリーの頭脳戦略を可能にするにはなくてはならない存在なのがライル(セス・グリーン)、コンピューターを操る姿が弾けていてかっこいいしコンピューターから離れるとお茶目なんだ。ハッカーにありがちな自分だけの世界に引きこもってる変人(イメージ)っぽくなく、カラッとした感じが良かったです。

 裏切り者への復讐でも冷静に案を練るところ等々、この作品何となく上品で優等生的な?!窃盗団のお話。そんなところが頼りないって感じる人もいるだろうなと思うくらい。どろどろとした陰湿で汚れきった騙しあいなんて抜き、見たくないような血なまぐさいシーンもないし、ボート,ミニクーパー,ヘリコプターのアクションも、もっとド派手なのを期待していた人もいるかなと思うけど、UKIUKIとしては破壊度もほどよく小気味良い感じで凄いなあ上手いなあと楽しめました。それにしても、金塊があんなにたくさん残っていたとは!?ラストの幸せそうなみんなにあやかって、まっいいか。。。
 やはりカーチェイスも面白かったけどそれだけではなく、初めから終わりまでワクワクして気持ちよく楽しめました。