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マッチスティック・メン


 ロイ・ウォラー(ニコラズ・ケイジ)とフランク(サム・ロックウェル)は善良な人々を相手に詐欺をして稼いでいるマッチスティック・メン(詐欺師)。悪の詐欺師という感じより普通の仕事のように詐欺をしているのだけど、''客''を相手に電話するハイな営業口調が愉快だし、いろんな役を演じ分けて詐欺を成立させるワザは見事です。ロイが言うように、暴力を使うわけでも金を盗んでくるわけでもない、相手が俺に金を差し出すのだから、泥棒とは違う! とはごもっともなんて思ってしまいます。(あっ現実の社会ではもちろん彼らは悪です。)決して似た者同士ではない二人だけど、息のぴったり合った役割分担で''仕事''の方は繁盛している様子。ロイは素敵な家に住み気楽な生活を謳歌しているかというと、・・・彼は潔癖性やいくつかの神経症的な症状に取り憑かれ、やっかいな自分をもてあましているのです。相棒のフランク(サム・ロックウェル)といったらなかなかいいヤツで、打算的な言葉を投げかけながらも、そんなロイを理解してか仕事以上の家族のような優しささえ感じられます。

 ある時ロイはフランクの勧める精神分析医の診察を受け、この悩ましい問題は自分の子を身ごもった妻に去っていかれたという過去を引きずっているからではと気づくのです。
 ところで、ニコラズ・ケイジ出演作はUKIUKIにとって当たり外れが大きく、また「リービング・ラスベガス」以来精神的に問題を抱えた人を演じたのをよく見かけるのですがあまり好きではなくって、この作品も前半''またか〜微妙ーーー''と思っていました。ところがロイの娘アンジェラ(アリソン・ローマン)が登場してから、そんなことすっかり忘れて楽しめました。24(?)才のアリソンが演じるアンジェラは14才の少女そのもので、明るく好奇心旺盛で飾ることなく思ったことを言い思いっきりの笑顔が可愛いです。生まれてはじめて会った父親のいいとこ悪いとこひっくるめて嬉しそうに飛び込んできました。ロイのこだわりの生活は全く無視! 詐欺師であることにガッカリすることもなく自分もやってみたいと言います。ロイが戸惑いながらも父性愛に目覚めていき変わっていくところが見所。フランクが持ってきたデカい詐欺を仕掛ける緊張感と重ねて、ロイとアンジェラの面白い中にもちょっとジーンとさせられる絡みがあって、それがものすごく良かっただけに、・・・えーーーっ全く気づかなかったその結末がそこまで!?ってほど鮮やかで笑えました。そしてアンジェラとの再会から何ともほのぼのとしたラストが心地良かったです。