My Comment

アトランティスのこころ


 ボビー(アントン・イェルチン)は、母リズ(ホープ・デイビス)と2人で暮らしていました。自分の生活に精一杯の母にはあまりかまってもらえず、11歳の誕生日だというのに欲しくてたまらない自転車も買ってもらえません。でもボビーには格好いいグローブを持っているサリー(ウィル・ロスハー)や淡い恋心が芽生えつつあるキャロル(ミカ・ブーレム)ら友人との生活を楽しんで、変わったことなどあまり起こらない田舎町で長閑に暮らしていました。

 その日突然見知らぬ老人テッド・ブローティガン(アンソニー・ホプキンス)がやって来てボビーの家の2階に住むことになりました。テッドは教養があって思慮深い感じでしかも不思議な能力の持ち主でした。ボビーが自転車を欲しがっていることや、カーニバルが一生忘れられない日になることを見抜くなど・・・。テッドは見えない物事を認識してしまう不思議な能力を通してボビーと心を通わせ、ボビーの気持ちを暖かく包み込んでくれます。ボビーは歳の離れたテッドにしだいに心を開き、かけがえのない友人になっていきます。しかし、テッドは彼の能力を狙う何か恐ろしい組織に追われているらしいのです。

 テッドの持つ能力は極力見せられてないのに、大掛かりな追っ手の存在が見え隠れするなかでそれが凄い能力だと分かります。アンソニー・ホプキンスがすっかり善い人になっていて新鮮で素敵です。でもやはり、どこか謎めいている怪しさやすぐそこまで危険が迫りつつある緊迫感に包まれた雰囲気は、彼だからこそのオーラといった感じです。アンナチュラルな要素はわりと受け入れてしまうUKIUKIです。この作品のテッドには何の抵抗もありませんでした。
 ボビーは母や父への想いとかキャロルへの気持ちを抱きながら、テッドもかけがえのない大切な人になっていくのですが、ずっと一緒にいたいと思いながらもついに彼を逃がそうと決意するのでした。アントン・イェルチンの可愛いこと。でも可愛いだけではない演技力に注目です。愛情的物質的に我慢しながらもまっすぐに生きている少年のあふれんばかりの感情が感じられます。テッドとボビーのやり取りが最高!アンソニー・ホプキンスとの絡みが凄く自然で存在感が対等です。

 ボビー・ガーフィールド(デイビッド・モース)が数十年ぶりに訪れた故郷には、もう友人の姿はなく何もかもが変わっていた。でもそこに来て、その町で過ごした忘れられない日々、大切な人との思い出が鮮やかに蘇ってきたのでした。
 あ〜〜〜そういえば・・・と、ドラマチックではないUKIUKIの人生でも、ある頃とても大きな存在だった友人や親しくしていた人たちをふと思い出させてくれる作品でした。普段は忘れているんだけど、やっぱりずーっと忘れないよ!と確かめることができましたね。