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座頭市


 日本が誇る時代劇ヒーロー「座頭市」を、北野武監督がどのように蘇らせたのか。じつはUKIUKIは元祖「座頭市」を知らないのですが、北野作品は「HANA-BI」とあと2,3観て個人的に好みではなかったので、今回は今までの北野らしさを好む人にはダメかもしれないみたいなことをどこかで聞いて逆に期待してしまいました。そして微妙だーっと思ってしまうところがちょこちょこあるわりに、終わってみれば全体としてすっかり楽しんでしまった作品でした。ユーモアいっぱいで娯楽性をとことん追求している中で見せられる見事な殺陣や大衆演芸など本物の技が、見る目をぐっと惹きつけます。

 俳優ビートたけし演じる金髪座頭市は、いつになく渋くてかっこよく、それでいていつもの彼らしさやほどよいユーモアもあって気に入りました。もう一人格好いい存在の服部源之助も過去の屈辱と病の妻を抱えた浪人で、浅野忠信が渋く演じていました。
 本当に見事な殺陣、空中一回転斬りなどは目にも止まらぬ速さです。二人して斬って斬って斬りまくります。そんな血なまぐさいシーンが不思議と嫌にならないのは、血が噴き出したり手が落ちたり・・・そういった部分にリアリティーが追求されていない(?)からかな、ハッキリ本物らしくないことの安心感が持ててUKIUKIとしてはよかったです。

 短いシーンの移り変わりが気になりそうで気にならないのは、時として前面に押し出されもしていた全体に流れるリズム感と、ここは見所と思われるシーンが次から次へとやってくる躍動感のせいだと思いました。
 ストーリーはその内容にそれほど感動したり共感したりするわけではなく、ちょっとひいた目で観ているのですが、いつのまにか乗せられてしまったような気がします。
 ストーリーが分かりやすく、とにかく見せる!笑わせる!THE STRIPES指導のタップで思いっきり盛り上げられたラスト!という感じ、UKIUKIは全然別物だけどちらっとムーラン・ルージュ観た時のような感じだなって思いました。それと盲目にして居合いの達人という、海外の方たちにはおそらく今までに出会ったことのないヒーローがもの凄いインパクトで、ベネチア国際映画祭では観客をあの大ウケに導いたのかなと思いました。