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ロード・トゥ・パーディション


 1931年冬の6週間、マイケルは父マイク・サリヴァン(トム・ハンクス)と向き合って一つの人生を生きた。

 マイクはギャングのボス、ジョージ・ルーニー(ポール・ニューマン)に恩を受け実の息子のように愛されていた。彼はルーニーのために、社会の法は通用しないその世界の掟に則って仕事をしていた。人を殺すことだって躊躇はしなかった男だ。しかしたった一度、ためらいながら引き金を引く時がこようとは・・・、その相手は・・・。
 一方マイクは愛する家族との距離を置いているのが分かる。何というか威厳すら感じさせているように見える。とりわけマイケルは、自分は弟のピーターほど愛されていないようにも感じていた。
 ある晩マイケルがルーニーの実の息子コナーの殺人を目撃してしまったことから、マイク父子は地獄への道を進みはじめることになる。

 トム・ハンクス見事です。ギャングとして非情な仕事をためらいも見せずやり遂げ、周囲からも認められ、ルーニーに信頼されている、そんな姿が以外にもぴったりハマッていることに驚きを感じました。そのうえ最後まで一言もマイケルら家族に「I love you.」と言わないなかで見せる愛情、父親としてのある願いを持ち続けていたことがだんだん分かってきます 。
 ギャングの世界を描いたストーリーでありながら、実は父と子を描いた作品になっていました。それはマイクとマイケルだけでなく、親子同然に信頼を寄せ合うルーニーとマイク、ルーニーと実の息子コナー、それぞれの親子が持つ心の葛藤が見どころです。
 特にマイケルが父マイクの愛情を確かめることのできた晩のシーンが、私の一番のお気に入りです。
 また二人の''息子''の間で葛藤するルーニーを演じるポール・ニューマンもよかったです。

 全体に落ち着いた雰囲気でストーリーが進んでいきます。景色もBGMも美しく、マイクの生きる世界とはかけ離れた雰囲気に包まれていました。マイクと過ごした6週間で、マイケルは父の本当の姿を知り本当の気持ちや願いを理解することができました。あの穏やかな雰囲気は、その後農村で暮らすことになったマイケルの心の内を表しているような気がしました。