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ストーカー


 ショッピングセンターの写真カウンターで働くサイ・パリッシュ(ロビン・ウイリアムズ)は、家族に恵まれない孤独な男。人付き合いはお客とのやり取りや職場で挨拶する程度で、プライベートな時間には誰の気にもとめられない、いないような人生を送っているみたい。そんな雰囲気が、彼の部屋の中や服装の色づかい、シーンごとの色づかいでも感じられました。

 常連客ニーナ・ヨーキン(ユニー・ニールセン)の写真には、彼女と夫ウィル・ヨーキン(ミシェル・ヴァルタン)と一人息子ジェイク(ジェイコブ)の楽しい思い出がいっぱい。サイには縁がなかった裕福で理想的な家族が写っていた。
 サイは壁一面にヨーキン家のスナップ写真を張りつけ、空想の中でヨーキン家の一員サイおじさんになることを楽しんでいた。サイの優しげな時には少年のような表情と人の良さそうなところが、常にヨーキン家を見続けている異常な行動をよけいに気味悪くさせている。さすがロビン・ウイリアムズの演じるストーカーはただ恐いだけではなく、どこにでもいそうな人がストーカーかもしれないと思 えてきてうす気味悪かったです。
 またヨーキン家が理想の家族ではない現実を知った時、サイの妄想は危険な坂を転げ落ち、その幸せを踏みにじったウィルと一家を恐怖に陥れます。あんなに恐ろしいロビン・ウイリアムズは初めてでした。

 逮捕されたサイに「Mr.ヨーキンを恨んでいるのか?」と問うシーンから始まる展開に始めはナ〜ンダと思いましたが、ラストがオープニングにつながると恐怖は去り、もの悲しい余韻が残るところが見事でした。