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ジョンQー最後の決断ー


 思うような仕事には就けず経済的にぎりぎりで生活していても、愛し合い支え合う家族、仲間、幸せに包まれた平凡な生活を描く前半は、それだけで涙が出そうなほど感動的ですらあります。
 健康で元気いっぱいだった息子が突然倒れ、余命僅かな重い心臓病で心臓移植でしか助かる見込みがないと宣告されてしまいます。

 日本での一般的な健康保険制度や医療費負担の状況とは、随分違っているらしいアメリカの状況を、かなり現実的に描いた上に立っている作品のようです。
 そして父ジョンQ(デンゼル・ワシントン)は本来とても善い人であることが垣間見られるし、父として息子マイク(ダニエル・E・スミス)を愛する気持ちは誰からも理解されうるもので、理不尽な医療現場の実態の中で、何とか息子の命を救おうとあらゆる可能性を探し求める姿は、感動的でした。子を持つ親として、彼の気持ちには100%感情移入できます。涙がボロボロこぼれてきます。しかし、彼の行動は100%理解できません。人質を取って立てこもって問題が解決できるなんて、善悪の問題以前に非現実的です。人質の人たちの様子も現実離れしているし、どうせ人質を取るなら外科医ら移植手術関係者だけのほうが・・・なんておかしな事まで考えてしまいます。なんか二つの作品を観ているようで、とぎれとぎれに感動していたみたいでした。
 それにしても、デンゼル・ワシントンや息子役ダニエル・E・スミスの演技には大満足です。特に二人が絡むシーンは、楽しいシーンも辛いシーンも心にきゅーっと響いてきました。