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キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン


 1964年から1967年にかけて、世界を股にかけて大胆不敵な詐欺を働いた犯罪史上もっとも若い詐欺師フランク・W・アバグネイルJr.(レオナルド・ディカプリオ)と彼を追い続けたFBIエージェントカール・ハンラティ(トム・ハンクス)のお話。嘘のような本当の話とはこの事、彼らは実在の人物だそうです。

 父(クリストファー・ウォーケン)が事業で失敗し、両親が離婚することにショックを受けて家出したフランクだけど、敬愛する父親が失った物を取り戻してやって、何とか母との元の幸せな生活に戻ってほしいと思い続けていた。
 見よう見まねでウソを重ね、初めは失敗ばかりの小切手偽造もいつの間にか名人の域に・・・、でもそんな偽りの繰り返しの間に、彼の本心が覗けるところにジーンとしたりして。。。フランス語の教師から始まって、パイロット,シークレット・サービス,医師,弁護士・・・、何度捕まっても逃げる!逃げる!!詐欺は犯罪だけど別に弱い者いじめをするわけでもないし、そのなりきり方と騙される方のドジぶりが愉快です。ところがこれほどの大物詐欺師でありながら、まだ19歳にもならないフランクは精神的には幼稚な面が見られるところが何とも良かったです。そして騙されながらもこの手の犯罪捜査の専門家らしく貫禄のあるカールが、仕事として割り切って冷静に冷めた部分と、自ら連絡を取ってふと頼ってくるフランクの幼い面への情が、微妙に絡み合ってくるところが見所でした。トム・ハンクスとレオナルド・ディカプリオの演技が絶妙のバランスで胸に染みました。
 フランクの突飛な行動や追いつ追われつを楽しみながらもずーっと淡々と進む展開で、盛り上がりに欠けるなと感じ始めたころにじわじわっと、フランクとカールの間に父子とも似た友情が生まれてきたのを感じ、ラスト近くになって一気に満足度を上げてくれました。このあたりスティーブン・スピルバーグらしさでしょうか。