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記憶の旅人


 ある日バーニー・スノー(イライジャ・ウッド)が目覚めたのは、死期迫る子どもたちが最期の時を過ごすホスピスだった。しかしなぜか彼だけは重病を患っていないのだが、どうやら自分の意志で何かの実験に参加して、名前以外の記憶全てを失ったらしいのです。彼はなぜ実験に参加したのか。。。それはどのような実験なのか。。。

 末期患者のビリーやマッゾらとの間に生まれる友情に支えられ、バーニーは少し記憶を取り戻しかけるが、やがて悪夢にうなされるようになる。そんな中でマッゾの双子の妹キャシー(レイチェル・リー・クック)と出会い、心通わせるようになる。友情や恋心〜新しい記憶はバーニーの大切なかけがえのないものとなっていくが、その記憶が消えてしまうのではないかという不安に彼は怯えるのだった。

 思い出せば辛いことばかりのバーニーの過去も、その記憶をなくした彼は過去を探し求める。母の名前を思い出した彼は、もうひたすら過去の記憶を解き明かそうとするのだった。未来のために捨てたはずなのに・・・。ついに自分の過去と実験がどんなものかを知らされた彼は、二つの選択肢から自分の未来を選ばなければならなかった。
 未来のために今を捨てられるか。。。彼が選んだのは・・・。

 ロード・オブ・ザ・リングで今や大人気のイライジャ・ウッドですが、この作品の繊細な演技はすごく良かったし、より彼にピッタリの作品のように思いました。今よりずっと少年っぽいですが、この頃はUKIUKIにはちょっと苦手ないかにもという美形で、ところが美形が邪魔に感じられない確かな演技力で、その美しさが自然で見とれてしまうばかりでなく、年齢差や性別をこえてバーニーに感情移入してしまいました。
 ホスピスの中で行われていることの状況については、あれっ?と思うこともあるのですが、そもそも実験そのものも ”そんなうまい調子に・・・”などと言ってしまえばそれまで。でもUKIUKIには興味深い発想であることは確かで、あれこれ考えてしまうことを楽しんじゃう。でもそんなことはさておいて、素直にストーリーに浸ってしまえばジーンと涙し、いろんな想いを巡らせることのできる作品でもありました。
 フィクション性の高い作品でありながら、シリアスで重い気分になりそうな内容ですが、ビリーの存在はそんな気分を救ってくれました。そして強く生き抜こうとする姿は、バーニーを未来に導く一助になったようにも思います。