Comment page 2008.9.19 renewal


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緊急呼出し エマージェンシー・コール
(1995)


 原田英之(真田広之)は、かつて商社員だったときフィリピンのマニラ支店に赴任している間に、帰国したら結婚するはずだった女性に見捨てられました。原田の親友で大病院の跡継ぎという医師と結婚してしまったのです。原田は今、心の傷を引きずりながら そんな彼らを見返してやりたいと、日本ではなくフィリピンで医師(インターン中)になり、マニラ市内のスラム地区にある病院で産婦人科を担当しています。そして、やがてはアメリカへ渡って医師として働くためにビザ試験をめざしています。
 原田の同僚女医ニッキもまた、アメリカで医師をすればひと月で今の一年分ものお金を稼げるからとビザ試験をめざしています。ニッキは 人々の信望も厚いスラムの開業医の娘です。実は 産みの母に見捨てられ、病院に置き去りにされたのを 父に娘として育てられたのでした。

 監督他ほとんどのスタッフは日本人という、日本制作の映画です。オールフィリピンロケで、日本人のキャストは三人↑だけだったと思います。セリフもほとんどは英語のようですが、UKIUKIが観たのは日本語吹き替え版でした。ということで、内容含めて何かにつけて珍しいというか、今まで観たことないな〜という印象の映画でした。けっして派手さの無い 淡々とした展開で、公開時の様子は知りませんが どちらかというとマイナーな印象もしました。でも、じわじわ〜っと いいな〜って思える映画でした。なんだかタイトルは、内容とはちょっと違うイメージのような気がしました。

 社会的環境が故に救えない死を次々と描きつつ、スラムという底辺層に暮らす人々の悲惨な現実を見ていくことになります。原田は、ニッキの助言もあり 心惹かれる女性カティに導かれてスラムに入ります。
 原田をことさらかっこよく描こうとしてないのがよかったです。また内容のわりに、ことさら暗く重く描いてないのも UKIUKIにはよかったです。こう言ってはなんですが、スラムの人たち ごめんなさい、軽い気持ちで観ていられました。それでもなんていうか、原田にというだけでなく登場人物それぞれに その心情に触れるような感覚で観ていたような気がします。
 原田もニッキも自分の生き方を見つめなおしていきます。命の現場で生きる者として、逃げ出さない! 見捨てない! 希望を捨てない!彼らの姿を通して、どんな状況でもけっして諦めないことが明日に繋がっていくのだと 勇気をもらえたな〜って気分です。 (Comment2010.2.2)