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ウインドトーカーズ


 1994年太平洋戦争におけるサイパン島での日米戦が舞台。日本軍がついに解読できなかったという、ナバホ語を基にした暗号を操るナバホ族の暗号通信兵(コードトーカー)のベン・ヤージー(アダム・ビーチ)とチャーリー・ホワイトホース(ロジャー・ウィリー)。ナバホ族の文化やナバホ語が暗号に利用されたことなどは、Xファイルでも垣間見てきましたが、彼らの尊厳ある生き方は興味深く、不思議なのですが何となく親しみを感じてしまいます。ヤージーとホワイトホースも本来戦場には場違いな感じの穏やかな人柄です。そんな二人が ''志願'' してそこに来なければならなかった経緯について深く触れてはいなかったのですが、さらに戦う姿を見るにつけ、とにかく悲しくてたまりませんでした。

 そしてヤージーとホワイトホースを護衛するためにジョー・エンダーズ(ニコラス・ケイジ)とピート・ヘンダーソン(クリスチャン・スレイター)が行動を共にすることになります。エンダーズとヘンダーソンはヤージーやホワイトホースとは親しくなりすぎないようにしようとするのですが、二人の人柄に触れてしだいに友情のようなものが芽生えてきてしまいます。実はエンダーズとヘンダーソンの本当の任務は ''暗号を守ること'' でした。暗号兵が敵の手に渡るのを、何としても阻止しなければなりません。

 ニコラス・ケイジ目当てで観た作品、期待は裏切られませんでした。
 敵と戦う以前に自分の感情と闘うのも戦争なんだと、ジョー・エンダーズだけでなく周りの兵士たちからも痛感させられ、それだけでも戦争の悲惨さ・空しさ・悲しさを感じることができて良かったです。

 私の苦手な戦争映画の戦闘シーン、たとえ作られた映像でも数えきれないほどの名もない人たちが死んでいくシーン、実はこういうの見ていることに罪悪感があるんです。彼らの一人一人に人生があって、家族があって、愛する人がいて、やりたいことがあって・・・と想像して胸を痛めることで、また現実の世界中からこんなシーンがなくなっていくようにと願うことで、許されたいなあって思います。