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WASABI


 パリ警察の刑事ユベール・フィオレンティーニ(ジャン・レノ)に、日本から元恋人の日本人女性小林ミコの訃報が届く。彼女が遺したのは二人の間にできた娘ユミ(広末涼子)と2億円だった。

 かるいノリで楽しめる作品になっていました。ジャン・レノはやっぱりいいですね。『レオン』では殺し屋が、家族を皆殺しにされてただ一人生きのびた少女とのふれ合いのなかで人間性に目覚めていくという役でかなり感動しましたが、この作品はもっとほぐれた雰囲気でしたから、ハードなガンアクションなどあるものの全体にコミカルで優しさがにじみ出る役を演じていました。日本を舞台にジャン・レノの魅力が出せるのか、このような企画(?)がよく実現したものだと思っていましたが、さすがに彼にはちゃあんと楽しませてもらえました。

 広末涼子のフランス語は(たぶん)見事でした。ただフランス語に頑張ってるわりに、元気いっぱいなんだけど演技に飛躍が感じられなかったです。あと二日で二十歳というのに、どう見ても中高生にしか見えない。浪費癖のあるイケてる女の子の役だとしても、もう少し大人の演技をしたかったでしょうね。せっかくのチャンスだったのに、かわいそうだと思いました。

 あのわざとらしい''わさび''のシーンには苦笑しましたが、題名としてはインパクトがあっていいですね。日本らしさの表現は、例によってどうしてこう不自然になるのかなあというのがいくつかありましたが・・・。
 脚本的には、19年間も別れた女性ミコを想い続けるユベールに対して、もっと深くミコの過去(19年間)に迫ってほしかったです。絵馬に隠された手紙にたどりつくシーンもあまりにもあっけなく、感動がわき上がってこなかったのが残念でした。94分の作品、もう少しでも時間を延ばせば何とかなったような気がします。