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スパイ・ゲーム


 スパイの世界、救出作戦、私のお気に入りになる要素が揃っているものの、ロバート・レッドフォードとブラッド・ピットの共演があまりにもウリになっているふうで、観る前はちょっと不安もありました。ところが期待以上と言っていいほど、おもしろかったです。

 ネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)がCIAを引退する日、かつての部下トム・ビショップ(ブラッド・ピット)が中国・蘇州の刑務所で逮捕され、24時間後には処刑されるという情報が飛び込む。政府は彼を見殺しにするためのシナリオを作ろうとし、ビショップの過去の資料をミュアーから聞き取ろうとする。

 アクションシーンはほとんどなく、淡々と進むストーリー展開でしたが、ロバート・レッドフォードの渋さが緊張感を際立たせ、これまで彼の良さがよく解らなかったのですが、はじめて、さすが!と実感しました。ミュアーが作るビショップ救出作戦のシナリオは見応えがありましたが、二人の過去にさかのぼる回想シーンがまた良かったです。非情なプロのスパイとして生きる二人に、時に人間臭さを感じるところがこの物語を作っていると思います。ビショップにとってはそれが弱さであったし、ミュアーにとってはビショップを捨てられない原動力になったのですから。

 私が一番印象に残ったのは、屋上で二人が激しく言い争うシーンです。それ以外のシーンも含めてこの作品のブラッド・ピットは、数ある出演作の中でも、インパクトのあるいくつかの大作に出演した彼を押さえて、私のお気に入りになりました。