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メメント


 妻を殺されたレナードは、自分も事件後新しい記憶が消えてしまうという症状にみまわれながらも、保険の調査員をしていた経験を生かし、犯人を突き止め妻の復讐をすることに全精力を傾けていた。

 彼は消えてしまう記憶の代わりに写真を撮り、メモや体中の入れ墨に事実を書き込んで、真実を追い求めています。ところがこの作品、こまかいシーンごとに時間的に前に前にさかのぼっていくという、今までにはないサスペンスの展開でおもしろかったです。ビデオで楽しむにはもってこいの作品で、あれっと思ったら巻き戻して確認しつつ、レナードの感覚や感情に近づいていく充実感を味わっていたのですが、ラストに近づくにつれて、えっどうなってるの!?と何度も巻き戻すことになりました。

 以前TVのドキュメンタリー番組で、記憶が20〜30分しかもたない実在する男性と彼を支える妻の日常生活を見たことがあるので、入れ墨はともかくレナードの行動は興味深く、心の中でレナードを応援しながら観ていました。ラストには、つまり最初に戻れば妻の命と彼の記憶を奪った真犯人が出てくるはずと思って・・・。ところが最初に戻って明かされたのは、・・・彼が何をしようとしているのか、彼自身の真実だったのでした。

 感動作ではなかったけど、パズルを解くような不思議な感じのする作品でした。謎が明かされた後、もう一度観てみると、また違ったおもしろさがありました。