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クレヨンしんちゃん
  嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲


 始まって少しのところで、この作品は大人をターゲットにしている!しかも40代以上!?と思いました。でもこの作品を観る多くの人は、子供や20〜30代のお父さんお母さんなんだろうな。どんな感じで観るのかなあ。

 1970年の万国博覧会とその前後の時代の描写はみごとです。確かにそうでした。あんなだった、こんなのもあったと、記憶がよみがえります。細かいところまでほとんど分かるのは、私以上の年代(?)でしょう。子供心に初めて流行を意識して、母に編んでもらった胸に☆模様の短いベスト(?)まで 映っていて笑ってしまいました。知っているから面白いと感じる映像・ギャグ・BGMなどが、ストーリーに乗っかりながらも次から次へと出てきます。懐かしいなあと思います。
 でも、あの頃は良かったとか、あの頃に戻ってみたいという感情は、私には生まれてこないので、ひろしやみさえや大人たちが夢中になって「20世紀博」で遊んだり、20世紀の暮らしに満足したりするのに共感できなくて、観ていてつまらない気分になりました。そこで気づきました。しんちゃんたち子供の気分に共感できるっと。この作品は、大人たちの側に立っても子供たちの側に立っても楽しめる、あるいは感傷に浸ったり感動したりできるのです。

 後半やっとつまらない気分が吹っ飛び、やっぱりおもしろ〜い♪とぐんぐん引き込まれていきました。かなり深刻なストーリーだけど、いつもの下ネタ混じりのちょっとお下品なユーモアも全体に効いてていいバランスです。中でも私は、タワーに上る途中でしんちゃん家族が鉄柱に入り込んだところが好きです。絶体絶命状態での家族愛がステキです。しんのすけの頑張る姿がとってもかわいいし、ひまわりっていっつもお荷物そうでお荷物って思われてなくて、みんなで大切にされているところがいいですね。ひろしもパワー全開。いざという時に頼りないみさえが足の先でしんちゃんを受け止めたところが最高です。
 そしてとことん頑張ったしんのすけのへたり込んだ姿に感動しない人はいないでしょう。ラストまでその感動!が収まるところに収まっていって、後味のいい作品でした。