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ショコラ


 メルヘンタッチな上空からのランスケヌ村の現実離れしたような映像。でもその中で営まれている人々のくらしは、時代を超えて場所を変え一見平和そうな秩序のある社会でありがちな、現実の世界を映していました。そこに住む人々は、いろいろな問題を抱えているにしても、しきたりの中に自分自身を同化させてうまく生活しています。村人や神父さえも取り仕切っている村長のレノ伯爵だって、ねっからの悪人ではないと思います。

 ある日小さな娘を連れて村にやってきた女性が、チョコレートの店を出します。人々は彼女と接するうちに、しだいに自分自身を解放させていきます。私は中でも、レノの言いなりになりながらも心に引っかかる思いを持ち続けていたアンリ神父が、ついに自分自身の言葉で人々に説教するシーンが好きです。心にしみ込む言葉でした。

 じつはこの映画を観ようと思ったのは、ジョニー・デップが出てるからです。出番はそんなに多くはなかったけど、いい味出していました。彼はいろんな雰囲気の作品にいろんなタイプの役で出演しているけど、私はこういう感じがいいな。正直言って、途中で、観続けるのがしんどいなっと思ったけど、彼が登場して最後まで引っ張っていってくれました。