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エネミー・ライン


 民族紛争から和平が結ばれたものの今なお緊迫した状況のボスニアでは、アドリア海に停泊している米海軍原子力空母カール・ヴィンソンが平和維持のため監視を続けていた。偵察飛行ばかりの任務に不満が募り退役届けを出したクリス・バーネット大尉(オーウェン・ウイルソン)に、レイガート司令官(ジーン・ハックマン)はクリスマスの日に偵察飛行を命じる。相棒のスタックハウスと飛び立ったクリスは、NATOに報告していない部隊を集結させているセルビア人勢力を発見しデジタルディスクに撮影をする。しかし突然のミサイル攻撃で不時着したのは敵地のど真ん中だった。

 「ブラック・ホーク・ダウン」鑑賞の後にこれを観たので、戦争映画もフィクションだと気楽に楽しめるなと思いました。
 クリスらが搭乗するF/A-18スーパーホーネットとミサイルの、息を呑む空中シーンは良かったです。
 屈強な戦士と言うよりは普通の若者っぽいクリスが、敵の執拗な追跡をかわしながら、体ひとつで走って走ってエネミー・ラインを超えた安全地帯を目指します。とにかくアクション満載、地雷原での強行突破や銃撃の嵐のなか、こんなの絶対無理でしょうという状況をくぐり抜ける不死身さがかえっていいですね。
 無線で連絡を取り合うクリスとレイガート司令官に、人間的な感情が垣間見られるのも良かったです。
 和平が崩れることを恐れたNATOの圧力で救出ポイントが変更されたり、味方の救出機が目の前で引き返していったりしますが、それにもめげず救出の可能性を求めて前に進むクリス、スタックハウスの死に報いるためにも目撃したセルビア人民軍による大量虐殺を白日の下にさらすため、勇敢に戦い跳ぶクリス、完璧なヒーローものでした。