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11'09''01
セプテンバー11


 2001年9月11日、ニューヨークを皮切りに全米を襲った同時多発テロを題材に、世界11カ国の一流監督がそれぞれの視点で描くオムニバス映画。(2002年フランス映画)
''11分9秒1フレーム'' という共通の時間枠に込められた、11編の平和へのメッセージ。
◆監督◆サミラ・マフマルバフ (イラン), クロード・ルルーシュ (フランス), ユーセフ・シャヒーン (エジプト), ダニス・タノヴィッチ (ボスニア=ヘルツェゴビナ), イドリッサ・ウェドラオゴ (ブルキナファソ), ケン・ローチ (イギリス), アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ (メキシコ), アモス・ギタイ (イスラエル), ミラ・ナイール (インド) , ショーン・ペン (アメリカ), 今村昌平 (日本)



 物事は何が起こったのか、どうして起こったのかについて、正しい理解があってはじめて、次への展開があると思うのですが・・・。
 私たちは多くの情報を自由に正しく得ることのできる環境にいると思いがちですが、これらの11作品を観て、その情報は十分で正しいものとは言いきれないと思いました。国や地域の歴史・社会体制・文化・宗教や思想などによって物事の見方が違うから、「正しい」ことは違うし、人々の願いも違います。どうして起こったのかについての理解がほとんどできていない私にも、それぞれに言い分や感情があるということだけは垣間見ることができました。
 9.11がアメリカだけに向けられた攻撃ではないというのは、そうだと思います。ほんの数日だけどワシントンDCとNYを訪れてその空気に触れてきたので実感したのですが、そこが自由と民主主義の象徴でもあると強く感じたからです。私は、自由と民主主義は守りたいしテロリストは許せないけど、この一年間の世界の動きには不安を感じます。これらの作品を観て、私のような何も力を持たない者でも、理解への努力はし続けるべきだと、何も力を持たない登場人物たちに教えられたような気がします。

 日本の今村昌平監督の作品はけっして心地いいものではなかったけど、それだけに戦争がいかに悲惨でイヤなものかを表していたように思います。そしてはっきりと「聖戦ナンカアリハシナイ」と言い切っているのは、世界に向けて日本人からの意義ある発信だと思いました。